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「人的資本」情報開示について思うこと
今朝の日経朝刊一面トップは、
「人的資本」情報開示へ 政府方針
スキルや女性登用 人材に投資
有報記載、23年度義務も
ご覧になった方も多いと思います。
開示が果たして日本企業の成長力を高めることにつながるのか?
政府は今夏にも企業に対し、従業員の育成状況や多様性の確保、法令遵守の取り組みといった人材への投資にかかわる19項目の経営情報を開示するよう求める。企業は従業員について価値を生み出す「人的資本」と捉えて適切に投資しているかを投資家が判断できるようにする。開示を通じて人材への投資を促すことで無形資産を積み上げ、日本企業の成長力を高める。
従業員を投資の対象である人的資本と位置づける考え方は企業経営で広がっている。製造ラインでの作業などが多かった時代は、人件費をコストと捉える傾向があった。
今は経済のデジタル化が進み、従業員が生むアイデアが企業に利益をもたらす。企業が人材にどう投資しているかは、財務諸表の数値だけでは読み取れず開示機運が高まっている。
実は記事を読んでいて、正直果たして開示を通じて日本企業の成長力を高めることにつながるのか、疑問を持ちました。
いかにその気にさせるかのほうが大事
確かにこれまでは「人件費」、コストという捉え方で、バランスシート上には表示がされず、損益計算書の販管費等費用項目に計上されていました。
今後は「人材への投資」として無形固定資産を積み上げましょう!この借方項目が増加する相手方の貸方では資本の部の当期利益が増加してバランスします!
ということなのかもしれません。
でも、従業員が持つアイデアをいかに創発させて、ひいては利益に結びつけけられるのか?
もっというと、いかに従業員をその気にさせるかのほうが大事ではないか。
これがわたしが今朝の新聞記事を読んだ率直な感想でした。
どこを向いた「人的資本」なのか?
急いては事をし損じる
記事には、こうも書かれていました。
欧米は人的資本の情報開示が進んでいる。
現状では投資家の要求水準を満たす日本企業は少ない。
人的資本への投資の遅れは、日本企業が競争力を失う一因となっている。
これらの記事からは、「人」を大事にしましょうというよりかは、その先の海外投資家にしか目が向いていないと、思わざるを得ません。
こうしたことが透けて見えてしまうと、「人的資本」対象の、当の従業員たちのエンゲージメントを高めることにつながるのか、やらされ感満載となってしまわないのか、とても心配になりました。
急いては事をし損じる
国は今夏にも開示を企業に求めるようですが、まだまだ議論の余地があるように感じました。
みなさんはどのようにお感じになられましたか?
でも「人的資本」はいまタイムリーな話題であることは間違いありません。
以前にも関連してこんな投稿していますので、よろしければどうぞお読みください。
雨があがり、きょうはこれから暑くなりそうですね。
よい週末を!
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