食事の時間の見直しがアレルギー症状の強さに影響?安心・安全な症状緩和を目指す 山梨大学医学部
山梨大学医学部の中尾篤人教授は、「食事のタイミング」がアレルギー反応の強さに与える影響を動物実験で明らかにしました。「食事のタイミングの見直しだけで2割程度の患者さんはアレルギー症状を緩和できるのではないか」と中尾教授は考察しています。アレルギー疾患の1つである花粉症に悩む人は近年増加中ですが、中尾教授の研究成果が安心・安全な症状緩和に役立つのではないでしょうか。
アレルギー症状は食事のタイミングの見直しで緩和できるかもしれない
山梨大学医学部の中尾篤人教授は体内時計に影響すると報告されている「食事のタイミング」に注目して、薬に頼らないアレルギー反応の抑制方法を研究しています。「アレルギー反応は活動期に弱く、休息期に強く現れる」という体内時計のサイクルを、2018年の動物実験で見出したことが研究のきっかけだったそうです(※1)。
2019年10月、中尾教授は食事のタイミングがアレルギー反応の強さに与える影響を、動物実験で検証しました(※2)。
実験では、24時間自由にエサを食べられるグループ、活動期の4時間だけエサを食べられるグループ、休息期の4時間だけエサを食べられるグループといった3群にマウスが分けられ、2週間飼育されました。なお、実験に使用されたマウスは夜行性なので、活動期は夜、休息期は日中です。飼育期間が終わった後、食事のタイミングがアレルギー反応の強さに与える影響を確認するため、活動期と休息期に分けて3群のマウスにアレルギー反応を引き起こしました。
その結果、24時間自由にエサを食べていたグループと活動期だけエサを食べていたグループでは、以前の実験結果同様に、アレルギー症状は活動期に弱く、休息期に強く現れました。一方、休息期だけエサを食べていたグループでは、活動期と休息期の両方で強いアレルギー症状が現れました。
体内時計が乱れるとアレルギー症状の強さに影響(山梨大学のプレスリリースより)
「食事のタイミングへの介入で、アレルギー症状の改善、治療薬の減量、発作の予防を目指すという新しいアイデアが示された。患者さんの2割程度は、食事のタイミングの見直しだけでアレルギー症状を緩和できるのではないか」と、中尾教授は実験結果を考察しています。具体的には、夜食を控えるだけで症状が緩和される可能性があると考えられているようです。
「食」がアレルギー反応を抑制する可能性を検証中
近年、アレルギー疾患の1つである花粉症を患う日本人は増加中です。花粉症といえば、鼻みず・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどが代表的な症状です。さらに厚労省の資料によると、花粉症の患者さんの8割近くが症状による睡眠の支障を感じているそうです(※3)。
私は、アレルギー疾患は生活の質を著しく低下させる病気だと考えています。今回紹介した中尾教授の研究成果は、安心・安全なアレルギー症状の緩和という希望を示したのでははないでしょうか。
2020年2月から不二バイオファームでは、発芽そば発酵エキスの抗アレルギー作用を動物実験で検証しています。アレルギーが原因という仮説のある間質性膀胱炎の症状改善メカニズムを解明することが目的です(※4)。
不二バイオファームは、副作用がほとんどない「食」によるアレルギー疾患や間質性膀胱炎の症状改善についてエビデンスの蓄積を進めています。
※1 科研費報告書 2018年 「アレルギー性疾患において個々の免疫細胞の概日時計が果たす役割の解明」 中村勇規、石丸かよ子、中尾篤人
※2 山梨大学 2019年10月 プレスリリース「「食事の時間がアレルギーに強く影響する」―食事の時間を見直すことによりアレルギー症状の改善が期待―」
※3 厚生労働省 2016年 「第3回アレルギー疾患対策推進協議会(資料)」 岡本美孝
※4 学会誌『日本間質性膀胱炎研究会誌』 2019年 「発酵そば発酵エキス配合食品の間質性膀胱炎に対する効果」 酒本貞昭、影山慎二、伊藤由彦、春野明弘、山田静雄、前島靖勲
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