4分の1の大玉西瓜
PM7:00、
閉店間近の八百屋
「お姉さん、安くする!」
と、すいか四分の一を押し売りされた
300円、
一人じゃ食べきれんないよ
真夏の西日射す夕入り
蒸し蒸しのリビングに帰り、
大テーブルにすいかをドンっと置く
背中に汗をかきながら、
包丁とまな板を持ってきて
つま先立ちで真上から
サクリ、サクリっ!
気持ちいい音がリビングに響く
そのまんまおっきな白い皿を受け皿に
カプリっ
じゅるじゅるっと勢いよく吸っても
ダラダラとすいか汁が両手を伝って肘から垂れている
吸いながらふと
友達のお母さんのことを思い出した
すいかがこの世の食べ物で一番好きな彼女の夢は
トイレですいかを好きなだけ食べ続けること
トイレに行く手間を省く画期的な西瓜摂取法だという
すいかを吸いながら
彼女の夢を思い出して
クスッとして、
自分がトイレに座りながら貪り食べてる想像もしてしまって
またクスッとする
少し笑えた分
今日だけはおっちゃんの押し売りも許してやろう
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