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MF
2019年5月20日 23:21
たけのこをかじる、甘い味噌ダレの奥の方に微かなえぐみ。茹でわらびの上には細かなかつ節がふわりと空気を纏ってのせられてる。パキりと音を立て噛み切る、弾ける茎。稚鰤の脂はコク、さっぱりとしたひらめの弾力、マグロの血の気お豆腐の生感、表面にはざらりと薄い塩気日本酒がコーティングされたいぶりがっこ艶やかに立った新潟コシヒカリの粒、食べたらネチッと柔らかいナズナと賽の目どうふの味
2019年5月10日 16:25
木曜の朝7時30分、起きてそのままキッチンへ向かう。日曜に買った花柄の陶器のカップを取り出し、牛乳を注ぐ。そのまんまレジに入れようとした。「鍋であっためたことある?」と、彼が言った。ないよ、面倒じゃない、と呟く私。「一度、期限切れの牛乳をね、そのままじゃ気がひけるからって鍋で煮て飲んでみたんだ。そしたら、びっくりだよ、なめらかでさ、ほんのりあま〜くて。のんでみなよ」そこまで言うなら、と
2019年5月9日 18:07
冬の終わりを思い出した。風に飛ばされていっちゃいそうなベージュのベレー帽を抑えながら、頭上を過ぎ去る白い椿を見つめたこと。1秒見つめて歩き去ったこと。瞬間の記憶。もっと他のこと真剣に見たはずなのに、考えたはずなのに。不意に浮かんでくるのは純白の花弁を誇らしく見せつける白椿。濃くて上品な艶めく緑の葉っぱたちを背景に従えて、飛び出た中核の雌しべは砂金のような花粉を抱いていた。乾いた冬の香りと、どこか優