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映画『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ』を観るべき理由

2021年アカデミー賞ノミネートが出揃いました。その中でAmazon primeオリジナルとして発表された本作。痛烈すぎて今も胸が痛むほどの良作です。ヘヴィメタル映画ではありません。そうなんですけれども。

あらすじ(Wikipedia)

ドラマーのルーベン・ストーンは恋人のルーと一緒にバンドを組んで活動していた。そんなある日、ルーベンは耳が聞こえにくくなっていることに気がついた。念のため専門医を受診したところ、ルーベンはいつ聴力を失ってもおかしくない状態にあることが判明した。ルーベンはすぐに治療を開始したが、病状は急速に悪化していった。絶望のあまり自暴自棄になるルーベンだったが、そんな彼を見かねた知人が聴覚障害者の自助グループを紹介してくれた。彼/彼女らとの交流を通して、ルーベンは徐々に生きる希望を見出していくのだった。

音に依存し音を絶たれた2人の物語。二重の意味でもです。

健常者には理解しにくい聴覚障害者の状況を、巧みな音響で再現しています。これがわかりやすく機能していて、一気に作品は静寂の世界へ引き込まれます。

ヘッドフォンでamazonを観る我々にダイレクトに響くテーマなのは間違いありません。ここにあるのは、ただただ強く彼の現実を突きつけられるその姿のみです。

この映画のテーマは「共依存」です。

物語が進むにつれて、彼は希望を求めていくつかの判断に迫られます。1人ではなにもできない現実を打破すべく、いくつかの助けを求めます。その判断はどうだったのかは観ていただくとして、彼が本当に依存しなければいけなかったのは何なのか?依存の判断を間違えたのか?依存先はいつでも快く受け入れてくれたのだろうか?いくつかの問いが残されます。

1人で解決できる事柄が減るという現実を、五体満足な人々は理解していかなければなりません。そしてそれは日常の当たり前の助け合いであることも理解しなくてはなりません。社会に問う素晴らしい作品でした。ぜひ観てください。

タイトルの『サウンド・オブ・メタル』もダブルミーニングです。

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