大きな庭に小さな家
わが家は100坪という住宅地としては比較的おおきな敷地に建っています。家はその敷地に目一杯建てるのではなく、建築面積15坪に抑え、残り85坪を全て庭として使えるようにしました。
「大きな庭に小さな家」
自邸を設計する上で大切にした思いです。
「自邸について」でも記述していますが、わが家のテーマは「フレキシブルであること」です。住居は可変することが難しいですが、庭は如何様にも変えていくことが出来るため、私の設計では庭の在り方はとても大切です。
2つの庭
わが家の敷地はL型になっており、中央に住居、両翼に庭を設けました。
片方は「実験庭」、もう一方は「共有庭」として、大きく2つのゾーンに分けています。
「実験庭」
住居から西側にあたる庭です。
ここは人目につきにくいため「試したいこと」を好き勝手に実験することが出来ます。散らかっていても草茫々でも焚火をしても近所の目を気にする必要がありません。ここで自然農法や植林を行っています。
家の原点を体験する
最近「家とは何か」とよく考えています。暮らしを豊かにすることが現在の家に求められる価値ですが、それ以前に生きるために家(住処)が必要だったころ、家はどんな役割を担っていたのかが気になっているのです。
例えばキッチン一つをとっても、今でこそ屋内が当たり前ですが、かつては火や煙を使うため屋外で調理していたはずです。それが便利さを求めた結果、現在のキッチンという形態に辿り着いている訳ですが、便利になった反面、屋外でしか実現できなかった料理の姿があったかもしれません。
そうした背景から「アウトドアキッチン」を作ることにしました。といってもレンガを積み重ねた(モルタルでも固定しない)だけですが…これで作ったベーコンは格別でした。キッチンの原型を探る旅です。
詳しく改めて紹介したいと思います。
その他、オフグリッドライフ(電気やガスなど公共インフラに頼らない生活)の実践や生き物(ニワトリ)との共生、ビオトープ制作など、まさに「実験庭」です。
人目を気にしなくていい場所だからこそ、豊かな暮らしを実現するために色々なことにチャレンジしています。
「共有庭」
住居から南側にあたる庭です。
ここは前面道路に面しているため、駐車場やアプローチを兼ねています。そのため第三者との関わりを前提とした開放的な庭として計画しています。
わが家は観光地である八幡堀りに歩いて1分という立地のため、観光客が散策されていることも多くあります。
水郷を利用して生活してきた人々の活気と、琵琶湖の豊かな自然が混在しているとても魅力的な街で、わが家も板張りの外観と雑木林の庭を作り未来の原風景となるよう考慮しました。
2つの庭のつながり
「実験」と「共有」。それぞれが担う役割を説明しましたが、2つは相互につながっている庭でもあります。
例えば「実験庭」では、種や球根から花も育てています。そこで綺麗に咲いた花があれば、来年以降の「共有庭」に移植します。
逆に「この植物ちょっと元気が無くなってきたな…」と感じたら「実験庭」に戻して養生することも可能です。
スポーツ選手の1軍2軍みたいな感覚ですね。
幸せにつながる庭
庭の良さは様々ですが、やはり「色々試せる」という事が私にとって一番大きなメリットです。そして庭いじりをすることで汗をかいて太陽を浴びて、健康的だと思います。
「大きな庭に小さな家は幸せにつながる」と、身をもって体感していますし、この経験を通してより多くの方に豊かな暮らしを提案していきたいと思っています。
「実験庭」や「共有庭」での具体的な活動も更新していきます。
自邸の、youtube動画を下記URLからご視聴いただけます。
暮らしについて、家づくりについて、案内しています。
https://www.youtube.com/watch?v=a1Wgnl_w7Jw