雨の祝日。
#20231009-253
2023年10月9日(月)スポーツの日
祝日だが、むーくん(夫)は出勤日。
朝早く、雨のなかを職場へ向かった。
あんなに暑かったのに、ここ数日は着るものに悩む。半袖の夏パジャマもなんだかうすら寒くて、長袖を引っ張り出した。暑がりのむーくんはひんやりとした冷感寝具をフル装備している。枕も、タオルケットも、シーツも肌に触れるものは全部だ。
暑さ寒さは人それぞれなので、むーくんには冷感寝具を片付けてほしくなったらいうよう伝えてあるが、どうも無頓着だ。私の場合、肌寒くなってきたこの季節、ベッドに入ったらなんだか寒いが寝具を取り替えるのが億劫で今夜はこのまま寝ようと自分をごまかすことがある。そうすると、翌朝ちょっとの寒さでも体が縮こまっていたのか、疲れが残っていて後悔する。
次の晩、毛布を1枚重ねてみたら、のびやかに眠れて驚く。ほくほくなのだ。
ノコ(娘小4)はまだ寝ている。
雨だれの音は心地よいし、窓の外はほの暗いし、寝るにもってこいの休日だ。
家族で一泊の小さな旅に出ていた。昨夜は帰りが遅く、ノコが起きられないのもわかる。
天気はよくないが、旅行でたまった衣類を洗う。旅先でノコが泥だらけにした靴下などを手洗いする。
10時が過ぎ、11時が過ぎる。
ノコはまだ起きてこない。
いや、実はもう起きてベッドのなかで本を読んでいるのかもしれないと、覗きにいくと深い寝息を立てている。ノコもむーくん同様、暑い暑いというので冷感寝具のままだ。丸まって眠るノコが寒そうに見え、その上からタオルケットや毛布を掛けてみる。
11時半が過ぎ……さすがに昼は過ぎたくない。
起こしに行くと、ノコはカーテンを引いた暗い部屋で漫画を読んでいた。
「読むなとはいわないから、明るいところで読んでちょうだい」
「はぁい」
ノコが面倒くさそうに返事をする。
「ゆっくりさせてあげたいけど、さすがに夜眠れなくなると困るから12時までに居間にきてね」
のんびりのんびり、ノコのペースを大事にしたい。
まだ手をつけていない宿題は、休憩を挟めながらやるという。
朝食はノコの希望で、旅先から持ち帰ったサツマイモをふかし、それとバナナ数切れを入れたヨーグルト。そこにくるりとメイプルシロップをかける。
遅い朝食後、ノコは自室にこもり、本を読み続けた。
私が洗濯物を干しにノコの部屋の前を通ると、サッと枕の下に本を隠したり、明かりを消して寝たふりをしたりする。本を読むことに隠したり、私に脅えたりしなくていいのに、と思ってしまう。
ただそのまま、3時のおやつになっても読み続け、日が暮れてきてもまだ終わらず。
いつになったら宿題をはじめるのかと、少しずつ苛立ってくる。
のんびりのんびり、ノコのペースを大事にしたい。
そう思ったのは誰だと、今の私が過去の私に悪態をつく。
私が夕食の準備に台所に立つ頃になって、ノコは居間に下りてきた。だが、机には向かわず、ソファーに引っくり返り、背もたれに足をのせて行儀悪く本を読んでいる。
そして、できた料理を食卓に並べはじめると、ジロリと今夜の献立を見回し、「これヤダ」という。
「私、カップ麺がいい」
いやいや、これ食べて、とノコの前に置いたとしても、一度「食べない」と拒んだものにノコは手を伸ばさない。もう少し早くいってくれれば、洗い物も増えなかったし、作る量だって3人分ではなく、2人分にした。
ノコはカップ麺を食べ、約束の入浴時刻から30分過ぎに風呂場へ行き、その後ようやく宿題タイムになった。
とうに20時は過ぎている。
何時まで宿題をやるつもりなのだろう。
ノコのペースを尊重したいと思ったが、これではまた夜更かしコースではないか。
そうかといって、うるさく宿題をやるよう促せばヘソを曲げるだけだ。
やっぱりこうやって、見ているしかないのだろうか。
苛立たずに淡々と淡々とノコと接しようとすればするほど、家庭内の空気が冷えていく。
夕飯中だって、1人カップ麺をすするノコに私は楽しい話題を振ることができない。
ほがらかに、ノコのペースを見守るのは、まるで修行のようだ。