
今もあるのね、サイン帳。
#20250302-522
2025年3月2日(日)
この前の休日に、ノコ(娘小5)の望みを叶えて本屋に連れていったからだろうか。
今度は百円均一ショップに行きたいとノコがいった。
まだ右手首の骨折から回復していない私は自転車に乗れない。バスで行くことになる。
自転車だと15分。
バスなら10分。
歩くとなったら30分、ちょっとしたお散歩になる。
百均に行くために2人分のバス賃をかける。帰りにスーパーに寄って食材を買ったとしてもなんだか首を傾げてしまう。
「片道、歩くならいいよ。スーパーに寄りたいから、行きに歩いたほうが楽かな」
「荷物、持たなきゃダメ?」
思わず笑ってしまう。
「そりゃあ、ママ、まだそんなに無理できないもの」
百均なら違う店舗になるが、歩いて10分のショッピングモールにも入っている。
「なに、買いたいの?」
「やることチェックリスト」
市販品に憧れる気持ちもわかるが、なんせいろいろ続かないノコだ。無駄になってしまう気がしてならない。
「ママがPCで作って印刷してあげようか? こういうのがいいって、見本を作ってくれたら作れるよ?」
私は自分好みの様式があるので、自作することが多い。
どういった項目、どういった構成がいいかと参考にするために市販品を見ることはあるが、続くかわからないものにお金を使うことにためらってしまう。
それが習慣化し、市販品のほうがよければ購入する。
でも、どんどん様式が自分仕様になり、市販品では物足りなくなる場合が多い。
「それから、お小遣い帳もほしい」
ノコが夢見るようにうっとりと首を傾げた。
「今、使ってるのがあるじゃん」
「だって、線、引いたりしなくちゃいけないからメンドー」
横線だけのノートなので、ページが新しくなる度に区切りの縦線と項目名を書かねばならないのは事実だ。線を引く、「日付」「内容」「入金」「出金」「残高」と書く。まとめて書く必要はない。1ページ分やればいい。
ノコにとって、書く手間が110円以上なのだろう。
結局、近くのショッピングモール内にある百均に行くことになった。
そこならば、百均以外にも文具売場とファンシーショップも覗ける。ノコは百均と文具売場にそれぞれ10分滞在し、ファンシーショップにはたっぷり長居した。
1つ1つの棚をじっくりを見るノコを待ちながら、私は小学5年生の頃を振り返った。
父の転勤で地方にいた私は、町に1軒しかないファンシーショップに心を躍らせた。急な階段をのぼった2階にあったその店はこじんまりとしていたが、書店の一隅にあった文具コーナーや小学校近くの学用品を扱う店とは違うきらびやかさがあった。
私はお小遣いを本に使う子どもだったので、そこで買うことはなかったが、あれもこれも可愛くてほしくなったのは覚えている。
目を奪い、心をくすぐる商品が並んでいるのだ。
「なにを買うの?」
背後からノコに声を掛けると、瞳を輝かせてノコが振り返った。
「ねえ、ママママ、見て見て」
A5サイズのバインダーには、丸い書体で「プロフィールBOOK」とある。
開いてみると、名前やニックネーム、住所に電話番号、それから血液型や誕生日だけでなく、携帯電話番号からメールアドレス、SNS名と項目が続く。好きなものや理想のタイプ、「告白するなら?」といったラブトーク欄まである。
質問項目が多いが、ひと昔前のサイン帳に似ている。
転校や卒業のときにクラスメイトに配った記憶がよみがえる。今もクローゼットにある段ボール箱のどこかに眠っているはずだ。
「ねえ、すごくない?」
ぎゅうとバインダーを握るノコの手に力がこもった。
「ママママ、これ、買いたいからさ、昨日預けたお金おろしたい」
――たったの1日かい!
思わず吹き出しそうになる。
でも、ノコにはこんなプロフィールブックは今まで目にしたことがなく、たまらなく新鮮で魅力的なのだろう。
目下、むーくん(夫)が森谷銀行への貯金を通常型だけでなく、低解約返戻金型も設けようとしている。高利率にも関わらず、大人にすればたった1ヶ月の満期もノコが待てないからだ。
通常型の利率を下げ、満期まで待てば高利率の低解約返戻金型を選ぶようにする。
大人からすればノコが得するように仕向けているのだが、それにノコが乗らないところがなんともおもしろい。
それはそうと、ノコよ。
「やることチェックリスト」と「お小遣い帳」はどこ行った!
いいなと思ったら応援しよう!
