もしや悪循環になっている? 娘の友だち関係を考える。
#20230607-130
2023年6月8日(木)
下校後、隣の公園へ遊びに出ていたノコ(娘小4)が帰宅した。
顔が強張っている。
このまま、すぐに宿題に取り掛かれそうもない。
茶碗を拭きながら、私はさりげなくノコに問う。
「どうしたの? 公園にお友だち、いなかった?」
ノコが頭を激しく振った。
「いた。いたけど、いたけど、みんな…ヒドイ!」
いい終えたと同時にノコがわっと泣く。床にぺたんと座り、顔を天井に向け、両腕を力なく垂らしたまま、「わぁぁぁん、わぁぁぁん」と外まで聞こえるほどの声で泣く。
私がノコの前に正座すると、ノコは泣きながらにじり寄り、私の膝の上に座ってきた。
その背をなで、耳元で号泣するノコの声にクラクラしつつ尋ねる。
「ヒドイって、どんなふうに?」
「だってね、だってね」
ノコが切れ切れに話しはじめた。
お友だちと鬼ごっこをしていたら、私だけを狙ってくる。
「ノコにしようぜ」という。
ヒドイ、ヒドイ、ヒドイ。
ずるい、ずるい、ずるい。
公園でのことだけでなく、学校のことへ話が飛ぶ。
私が発表したら、「みんなクスッて笑った」。
「全員、笑ったの?」
「…〇〇と〇〇と、〇〇は笑わなかった」
「じゃあ、その3人以外の人は全員ノコさんのことを笑ったの?」
ノコが黙る。
「△△と△△が目で合図してさ、2人してさ、私のほうを見て笑った」
どうやら全員ではないようだ。ノコが認識している笑った人は2人。発表者としてのノコをただ見ていたのかもしれないし、ノコの発表が見当はずれに感じて本当に笑ったのかもしれない。
「そうかぁ… バカにされた感じがしたんだね。せっかく発表したのにね」
「それだけじゃあない。私のことぶりっ子だって、悪口いってた。だから嫌いだって」
――ぶりっ子。まだそんな言葉が残っていることに内心笑ってしまう。
私から見ると、どこでそんな乱暴な言葉遣いを覚えてくるんだろうと呆れる話し方をするノコだ。ぶりっ子と呼ばれる要素がわからん。
「顔を見ていわれたの?」
「私がいないと思っていってるのを聞いた。だから、ノコとは遊ばねぇって」
「それは今日のこと?」
ノコが黙る。
「最近?」
返事がない。
「6月に入ってからかな?」
「…うん。ママ、先生にいって。みんな、ヒドイっていうこと、先生にいって」
ずるずると芋づるのようにノコの口から友だちへの不満が出る出る出る。
そして、またひとしきり声を上げて泣く。
宿題はまだしばらくできなさそうだ。
直にフローリングに正座しているので、足首の骨が床にあたって痛い。ノコの体重に耐えられなくなってきた。
「ノコさん、ちょっとおりてもらっていいかな。ママ、足が痛い」
「…部屋に行ってくる」
ノコは私の膝から下りると、自室へこもってしまった。17時に帰宅し、すぐはじめる予定の宿題。いつになったら、手をつけるのだろう。
夕飯後、ノコが落ち着いているのを見計らって、確認する。
「ノコさん、夕方にいっていたこと、ママにいってスッキリした? やっぱり先生にもいってほしい?」
「…うん」
「じゃあさ、学校を転校したいくらい嫌なのが10だとしたら、夕方話したことはどのくらい?」
「…5?」
断定ではなく、語尾が微妙に上がる。
「もう学校に電話できる時間じゃないから、先生にお話しするのは明日ね」
そう伝えてこの話を終える。
私に話すことで気持ちが落ち着くのならいいのだが、そうではないらしい。
ノコを信じる/信じないではなく、鬼ごっこの件も授業での発言の件もお友だちにはお友だちのいい分があるだろう。ノコが感じたことと違う可能性は大だ。とはいえ、先生の耳に入れるよう望むノコに「いわなくていいんじゃない」ともいえない。
私の確認の仕方が悪かっただろうか。
もっとざっくばらんに「ママにいったらスッキリしたかな?」と強く抱きしめたら、それでおしまいになったかもしれない。
先生に伝えてほしいかと問われたら、ノコの性格上「うん」と返す確率が高い。
先生に話すことを億劫がっているわけではない。
先生とて聞いてしまえば動かざるを得ない。すぐに授業のあいまに友だちを一人一人呼び出し、事実確認とそのときの思いや考えを尋ねるだろう。
それがまた友だちの心にわだかまりとなり、「ノコは面倒くさいやつ」「関わると面倒」になりかねない。
いや、もうなりかけているのかもしれない。
ノコが友だちの言動を「ヒドイ」と感じる心は抑えられない。
違う見方や気持ちのあり方を提案したくなるが、それはノコが「こういうふうに感じる自分を変えたい」と思わなければ、「ママも私のことをわかってくれないんだ」になる。
今のような接し方を続けていいのだろうか。
ノコのお友だち関係が悪循環に突入しない道は…どこにあるのだろう。
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