婦人科通いとひとり時間
2023年3月10日(金)
昨春から婦人科に通院している。
初経から生理周期はわりと順調だったが、ずっと生理に関連する諸症状には悩んでいた。
よくいわれるイライラはなく、気持ちが沈むことが多かった。
出血多量と辛い生理痛(下腹部痛)だったので、明るくなりようがない。
原因がわからないことがとにかく嫌だったので、20代の頃から婦人科には足を運んだ。
「子宮内膜症かもしれない」といわれた。
はっきりしない診断にもやもやしたが、どの婦人科医もそうだった。
年齢を重ねるにつれ、小さなポリープや小さな子宮筋腫が見つかることはあった。その都度、簡単な除去手術や経過観察となった。
ここ15年ほどは、排卵日前後から15日間ほど右半身が痛むようになった。
特に右肩まわり。
市販の鎮痛剤でおさまるものの、薬の効き目が切れる頃になると見事に痛みが復活する。その間隔が次第に狭まっていき、箱の注意書きにあるあけるべき間隔より早く服用しないと日常生活が滞るようになった。
とにかく痛い。
寝ていても鎮痛剤が切れると痛みで飛び起きる。
痛みが激しいときは本当に何もできず、考えられず、いっそ腕を切り取ってほしいと願った(痛みが弱まれば、途端「右腕大事!」になるのだけど!)。温めたら痛みが和らぐかと温湿布を貼ってみたり、イガイガのツボ押しボールを肩の下に置いて寝たり、いろいろ試した。むーくん(夫)のマッサージは欠かせなかった。
月の半分も鎮痛剤を服用しているためか、15日を終える頃には胃が荒れて痛くなった。
婦人科もいくつか受診した。
いろんな検査をしたが、どこの婦人科医も原因はわからず。生理周期と関係しているためピルを服用して生理を止め、痛みが消えれば「よし」としませんか、といった。
だが、ちょうど結婚し、不妊治療をはじめていたので、その方法は取れなかった。
不妊治療を通じて、私の身体は自然妊娠が難しいことがわかった。
2年ほど体外受精に挑戦したが、喜ばしい結果にはならず、時間もその分進んだ。
不妊治療をやめた後、里親になった。※
登録研修や里子紹介の待機期間中、交流中も婦人科に通ってはいたが、ピル服用には踏み切れなかった。確率が低いといわれているのに、自然妊娠への望みを捨て切れなかった。
ノコ(娘小3)が委託され、いきなり幼稚園年長児の母になった。
もう毎日バタバタで周期的に来る身体の不調には心底参ったが、今度はピルを服用することで生じる慣れない作用が心配だった。辛いけれど、鎮痛剤を15日間服用すればなんとか乗り切れる。痛さはむしろ増しているが、見通しがきく分、楽に感じた。
施設育ちのノコは体調不良の大人に慣れていなくて、いくら説明してもお手柔らかに接してくれなかったけれど、いつかわかるようになると毎月願って痛む期間を過ごした。
だが、50歳になり、この痛みがほとほと嫌になった。
私の人生をどれだけ食いつぶすつもり!
これ以上、私の時間を奪うな!
友だちが救われたという婦人科を教えてもらい、遠かったが行ってみる。そこでもわからなかったが大きな病院を紹介してもらえた。
相も変わらず、私の右肩痛は原因不明で、やはり生理を止める薬を提案された。ピルではない。50歳だとピルは服用年齢範囲外だという。そうなのか!
身体を更年期状態にすることで生理が止まるホルモン剤を飲むことになった。
副作用がピルとは異なるが、やはりある。更年期という未知の世界が早く来ることに戸惑いはあったが、それは服用してから考えよう。辛い症状が出たら相談すればいい。
服用がはじまった。
婦人科医の説明にあった通り、はじめは絶え間なく出血があり、油断できなった。半年が過ぎたあたりから、その量が減ってきた。
服用をはじめて、10ヶ月ほど経過した今。
とても快適だ。たまらなく楽だ。
1日2回定めた服用時刻を気にせねばならないが、スマートフォンのアラームを設定したことで飲み遅れも減った。
毎月、月の半分も痛みと闘わなくてよい。
数ヶ月おきに通院せねばならない手間はあるが、むーくんの休日に合わせて病院を予約するのでその日はまる一日”私時間”になっている。ノコはむーくんに丸投げだ。
「子育て中はできないことだってあるわよ」という実母には「このゼータク者め!」と苦笑いされるけれど、病院と美容院の日は「私デー」。
時間を意識せず、書店巡りをしたり、憧れの飲食店に挑戦したり、頭を空っぽにして気の向くまま街をさまよう。
ひとけのないところでこっそりマスクを外す。
深く深―く呼吸し、空を見上げる。
あぁ、むーくん、ありがと!
※ 里親になったきっかけは不妊治療でしたが、その後里親制度の説明会や里親登録の研修を経て、里親制度が「子どもが欲しい大人のための制度」ではなく、「子どものための制度」であることを理解しています。