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時間も含め、出掛ける準備をどこまで子どもにまかせてますか? 信頼していないのは私のほうなのかもしれない。
#20230520-110
2023年5月20日(土)
「見守る」って何だろう。
「待つ」って何だろう。
口でいうのは簡単だけど、このところノコ(娘小4)を見ながらずっと考えている。
10時半にノコの歯医者を予約している。
そのことは数日前から繰り返し伝えていた。「10時半 歯医者」とノコのカレンダーにも書いてある。
わかっているはずだ。
・・・そう思いたい。
休日の土曜日。
少しはのんびりしたいだろうと平日の起床時刻より1時間遅く起こしにいくと、ノコは既に起きていた。ベッドの上に仰向けになってはいたが、照明はついていて煌々と明るい部屋のなか目を開けていた。
「おはよう。はい、起きて。今日は10時半に歯医者さんだよ」
ノコはごろりと私に背を向ける。
「ヤダ。まだ起きたくない」
「そう」
私はそれ以上いわず、居間に戻った。
呪文のように「私は私、私のすべきことをする」とつぶやき、自分のToDoリストと向き合う。
起きてこないノコのことに苛立ち、自分のことが滞ると一番悔いが残る。
ノコは多分ベッドの上に寝転がって漫画を読んでいる。
何度か洗濯物を干すのにノコの部屋の前を通ったが、開け放ったドアの向こうをあえて見ない。着替えない、朝食をとらない、宿題をしないノコを咎めないのは至難の業なのだ。
見ないに限る。
10時。
私の「歯医者さんに行きますよ」という言葉でノコは慌てて居間へおりてきた。
急いで着替え、朝食を口に突っ込みーーもちろん完食ならず、私に歯を仕上げ磨きされ、ボサボサの髪の毛をなでつけた。
「あなたのことは好きだけど、ママはあなたの支度にダラダラなところは嫌いです」
ノコはへにゃりと笑って、肩をすくめる。
それでも、私がかたい表情のままでいると、「ごめんなさい」とつぶやいた。
足早に歯医者さんへ歩きながら、ノコに問う。
「ごめんなさいっていうことは、自分のした何かが悪いと思っているんだよね。何が悪いと思ったの?」
左右に目を揺らし、ノコが口ごもる。
なんだかわからないけれど、とりあえず「ごめんなさい」っていっておけばOKというヤツだろうか。
「えーっと、えーっと、ダラダラした・・・ところ?」
なぜ疑問形?
なぜ自信なさげ?
「ノコさんが歯医者さんに間に合わなくてもママは困りません。でも、お約束した歯医者さんはもっと先の予約になるところを今日わざわざ時間を作ってくださったの。失礼なことをすると、相手はノコさんのことを信じなくなるよ。信頼されなくなるの」
走って走って、歯医者さんにギリギリ滑り込む。
これで懲りたと思った私があさはかだった。
午後からの習い事のため、ノコが自分の部屋から居間に下りてきたのは、出発時刻の10分前。しかも、私に「ノコさん、遅刻するつもりですか」といわれてだ。
お菓子を口いっぱいに詰め込むノコにため息しか出ない。
習い事に向かいながら、ノコに尋ねる。
「出発時刻は知っているよね。どうしたら余裕を持って、慌てずに出発できると思う?」
「わかんない。・・・ダラダラしない?」
「ダラダラが悪いわけじゃないよ。時間がわからなくなるほど夢中になるのも悪くないよ。準備する時間に気付けばいいんじゃないかな?」
ノコが押し黙る。
「キッチンタイマーだってあるし、目覚ましのアラームだってあるよ。時間に気付かないのなら、気付く工夫はできるはずだよ」
歯医者さんも習い事もなんとか間に合ってしまった。
懲りれば、嫌な思いをすれば、しなくなるのだろうか。
私としては「懲りたからしない」「嫌な思いをしたからしない」というのは、行動を改めるきっかけとして適切なのかわからない。
だから、つい声掛けをしてしまう。
そのあたりの覚悟が私にできていないのか。
これはもっと放置・・・いやいやノコを信頼して、出発時刻まで、いや出発時刻を過ぎても何もいわないというのがいいのだろうか。自分だけはすぐ出られるよう玄関に待機して。
いわないのなら、徹底していわない。
別に遅刻したって、死ぬわけじゃあない。
「待つ」のも「見守る」のも、どこでどんな「手を差し伸べる」のもホーント難しい。
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