いったい何に対してなら、執着を見せるのだろう。
#20231024-269
2023年10月25日(火)
ノコ(娘小4)は執着心が弱い。
手放しや諦めが早く、助かるときもあるが、幼くてそうだと勘繰ってしまう。無理矢理でも気持ちを切り替えないと生きていけなかったのではないか、願っても叶えられることがなかったのではないか、と思ってしまう。それは生い立ちによるものではなく、ノコのもともとの気質かもしれないのにだ。
例えば、私がやりなおしが難しい失敗をして謝ると、あっさり「いいよ」という。駄々をこねられてもどうしようもないことが多いので――なんとかなる事柄なら対応するので――とても助かるのだが、未練がましいところがなく、かえって心配になる。
助かったのに、もう少し執着を見せてほしいなんて我ながら矛盾している。
イベント等で遊んでくれたスタッフがいたとする。
とても楽しく遊んでいたが、そのスタッフが用事でその場を離れなければならなくなる。そうすると、名残り惜しい様子も見せず、相手をしてくれそうなスタッフのもとへ駆けていく。振り返って手を振ったりしない。
オモチャなどの物に対してもそうだ。5回も遊べばノコには多いほうで、手に入ったときは大喜びしてもすぐ遊ばなくなる。遊ばないくせに手放すとなると渋るかといえば、あっさりしたもので「いいよ」となる。
夏休みの終わりに、ノコの部屋の片付けをした。
いらない物を入れるように45Lの大きなゴミ袋を渡したら、あっという間にいっぱいになり、慌ててゴミ袋を段ボール箱に変えた。
我が家に来て4年の間に贈られた品々を迷いなくノコは入れていく。児童養護施設から持ってきた物も入れていく。自分のお小遣いで買ったものも入れていく。段ボール2箱がすぐいっぱいになった。
執着が弱いせいか、ノコは扱いが雑だ。
ほぼ新品のオモチャもこまかなパーツは既に紛失し、パッケージも破損している。子どもだから仕方がないのか、もう少しそろっていれば中古品店に売りに行くこともできる。そうしたら、また新たな購入につなげられるのに、と思ってしまう。
車がない我が家は、中古品店に物を売りに行くにしても自転車に積んでいくことになる。
まとめて100円でも買い取ってもらえない物のために時間と労力を使うのか悩ましい。インターネットで中古品として売るにしても品物がこの状態では難しい。
玄関にノコの不要オモチャが2箱置いたまま、2ヶ月が過ぎてしまった。
邪魔なだけでなく、玄関に常に物があることがスッキリしない。
暑さが落ち着いてきたので、衣替えをはじめた。
秋冬物を引っ張りだしてノコに着せてみると、袖丈、着丈が見事につんつるてんだ。小食なのにどうやって成長しているのか首を傾げてしまうが、着実にノコは大きくなっている。
ノコは「もう着ないし、いらない」と前シーズンの衣類に見向きもしない。
ファストファッションが多く、ブランド品なんてない。以前、試しに中古店にノコの衣類を持ち込んだことがある。かなりの数だったが、100円にもならず、むーくん(夫)と笑ってしまった。
売るのは手間、廃棄はもったいなくて良心が痛む。
きれいな状態の衣類の写真を地域の里親会のSNSに載せたら、おさがり希望者から連絡がいくつか来た。着てくださる方がいるのなら、お譲りするのが一番だ。
玄関先まで車で衣類を受け取りにいらした里親には、オモチャもお見せした。大喜びで持ち帰ってくださり、あっという間に2箱が空になった。
皆さん口々に「ノコちゃんにお礼を伝えてね」という。
「〇〇さんちも、△△さんちも、とっても喜んでたよ。大切に着るって。□□ちゃんなんて、オモチャがいっぱいでお誕生日とクリスマスがいっぺんに来たみたいだって」
ノコはくるりと目をまわすと、ぷぷぷっと笑った。
「私、サンタさんみたいじゃーん!」
惜しさが見えない。
――ママはもう少し執着してほしいけどね。
ないものねだりだろうか。
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