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勉強はどこでするのがいい? 家族がいる居間? 一人きりの自室?
#20230425-86
2023年4月25日(火)
「あーあぁ」
学校から下校したノコ(娘小4)が連絡帳を眺めながら、ため息をついた。そこには宿題が書いてあり、それを見ながら、私が作ったスケジュール表に今日の予定を決めていく。項目はすでに付箋紙に書いてあるので、それを貼る。
先週土曜日からこのようにして4日目。やるべきことが明確になったことで、ノコのストレスは増えたようだが、自分で決めれば親にあれこれ指図されないこともわかったようだ。
【メリット】
① やるべきことが明確化、視覚化される。
② どの時間に何をするか、自分で決められる。
③ 完了した項目を「できた!」欄に移動することで達成感がある。
【デメリット】
① やるべきことの量がわかり、げんなりする。
親側のメリットは、なんといっても「〇〇は?」や「〇〇しなさい」という促しを手放せたことだ。もちろん就寝までに済ます宿題量を本当に把握しているのだろうか、実際このペースで間に合うのだろうか、とハラハラはする。でも、催促して動く子どもならいいが、ノコは反対だ。
いわぬですむなら、それでよし。
せっかく済ませた宿題をひとつ持ち忘れて登校してしまい、今日は担任の先生に「怒られた」という。
「先生さ、3回目までは忘れてもやさしく教えるっていったくせにきつくいった。怒ったんだよ。
まだ2回目なのにさ。ねぇ、ママ、先生ってひどくない?」
ノコが恨めしそうに私を見る。
「あらら… 先生にちゃんと『まだ2回目です』っていった?」
「いえるわけないじゃん! 先生はエライんだから」
「先生、2回目だって覚えてなかったのかもよ。でも、先生ってエライの? エライといえないの?」
「いえないし! 先生、エライに決まってるし」
さも、何をバカなことをいっているんだ、という目でノコは睨んだ。
…困った。先生がエライと教えた覚えもないし、エライ相手には発言できない、というのも私には理解しがたい。「エライ」の解釈が違うのか。
「先生だって人間だもん。ノコさんが忘れた回数を勘違いすることはあると思うよ。それはお伝えしていいんだよ」
目下不貞腐れ中のノコにエライについていうタイミングではない。
おそらく先生はまだきつくいってはいないのだろう。やさしくいってもいないかもしれないが、ノコにはみんなの前で指摘されたこと事態がすでに「怒られた」「叱られた」になっているのだと思う。
夕食後、私が後片付けや家事で居間を出たり入ったりしていたときのこと。
算数の宿題でわからないところがあったノコはむーくん(夫)に教えを請うたようだ。居間に戻ると険悪が雰囲気になっていた。
「学校ではそう習わなかった」
「学校で習ったんだったら、その通りにやればいいじゃないか」
「だから、それがわからないっていってんの!」
学校で教えられた方法以外は断固拒否するノコ。だが、宿題の計算ドリルには学校で学んだ方法を応用した問題が並んでいた。それをむーくんは教えようとするのだが、聞く耳持たずで拒むため教えようがない。
ノコは居間を飛び出すと自分の部屋へこもってしまった。
早朝出勤だったむーくんはソファーでうとうと眠り出す。
手つかずの宿題を残したまま、時間だけが刻々と過ぎていった。
とうにノコの入浴時間は過ぎている。声を掛けると「まだ入らない」というので私はひとり先にお風呂をいただく。わぁい、一番風呂だ!
湯上りの私がぺたぺたと化粧水を顔に塗っていると、ノコが居間に入ってきた。
ソファーで寝ているむーくんを一瞥する。
「ママ、居間で勉強したくない」
「それなら、どこでしたいの?」
「自分の部屋」
「ノコさんの部屋には机がないし、ママはお勉強は居間でしてほしいな」
「ここじゃ、うるさくて集中できない」
ノコが勉強しているので私たちはTVもつけていない。むーくんは静かに寝ている。そりゃあ、まったくの無音ではないが静かなもんだ。
「TVもついてないし、別にうるさくないと思うよ。このくらいの生活の音でお勉強できないなら、学校でのお勉強もしんどいんじゃない?」
イヤーマフがいるのかしらん。
そんな考えがよぎるが、多分むーくんとのやりとりが嫌だということだろう。
「自分の部屋で勉強したい」
「ノコさん、あなたのお部屋には漫画や本、おもちゃ、ベッドもあるでしょ。そんな楽しいことに囲まれたら、なおさら勉強に集中できないと思うよ。
ママは居間で勉強してほしいです」
「大人ってホント勝手だね」
そう吐き捨てるようにノコはいうと、居間のドアを力まかせに閉めて出て行った。
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