思いやりdeつながる

急がなくていいからね

わたしは障がいのある娘と共に生活しながら、よだれかけに見えない、まるで服のように見える「スタイチュニック」を考え、作り、販売しています。最近は感覚が敏感な方に使ってもらえるよう、軽くてやさしい肌触りで息がしやすいマスクも販売しています。マスクがつらい人のそばにいて寄り添うマスクであってほしいという願いから、そばにいますの「ソバニイマスク」と名付けました。

障がいのある人などの困りごとを一緒になって考えてものづくりをするようになってから、わたしはとても不思議な感覚を覚えています。「急がなくていいからね。」という言葉。注文してくださった方から毎回のように、申し合わせたわけでもなくかけてもらうこの言葉。ちょっと世の中の流れと逆行しているように思えて不思議です。

というのも今の時代．．．ほら、あなたこんなの欲しいんでしょ？さあさあ、早く早く、自分の頭で考えるよりも早く早く、コンピュータが言ってきます。ここをポチっとするだけで今日中に手に入りますよ。なんでも早く簡単に手に入る、そんなことが当たり前になっている時代です。そんな時代に生きていて、「急がなくていいからね。」そんな言葉はなんだか心がぽっと温かくなる響き。わたしも使う人のことを想ってお作りします。使う人も作るわたしのことを想ってくれているのがわかります。

世の中が劇的に変化していることを多くの人が実感している今日この頃。これまでの価値観はとうに崩れています。今を生きていくために、少し立ち止まって考えてみます。わたしは”ひとを思いやる”こと、それがすごく大切で、それが自分をうんと豊かな気持ちにさせてくれ、前に進む力を与えてくれると思います。

わたしが始めたものづくり。それは介護をしているわたしが、わたしのできる範囲でまずはやってみようと始めた小さなホンネのものづくり。共感してくれた方はどこにもないその品物を「急がなくていいからね」という気持ちで楽しみに待ってくれているのがわかります。そして、不思議なことに、実際はそう言ってもらうと、がぜんヤル気が出てきて、早く届けたくって急いで取りかかり、結果早く仕上がるということを繰り返しています。（笑）お互いの思いやりが、作るわたしと使うあなたをより確かにつないでいます。

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