天玉そばの生卵をいかにして食べるか問題
大変お世話になっております、立ち食いそば。年間およそ120食ほどでしょうか、いつ食べてもおいしく提供いただきありがとうございます。
立ち食いそばの王様メニューは天玉そばで決まりだろう。多くのお店の食券機で、王者にふさわしく最上段左角ポジションに鎮座するのが天玉そば。ちなみにうどんの王様は肉うどんかな。座って食べるお店なら鍋焼きうどんも候補だね。
実は俺はそんなに天玉そばを食べない。毎回、生卵の扱いに困ってしまうから。
みんな天玉そばの生卵をどうやって食べてるんだろう。熱々のつゆがかかっているとは言え、食べてる間に半熟卵ができあがるほどの高温ではない。
生卵だから箸でつっつけば黄身が割れてグダグダになる。グダグダになってつゆに広がっていく。やがて卵風味のつゆが現れることとなる。
つゆを飲み干せば生卵に関する問題はほぼ解消されるのであろうが、健康のことが気にかかったり、気にせずとも満腹だったりして、つゆは飲み干さないのがマイスタイル。器に残されたつゆには生卵の大半が漂っているというのに。
似たようなことはとろろ芋をのっけたとろろそばでも言える。せっかくのとろろがつゆに拡散してしまう。一度拡散してしまったとろろ芋をとろろっと味わうことは至難の業。その昔とろろ芋と呼ばれていた純白の粉砕片が悲しく漂っている。
漂うというのは悲しいものなのだね。
もう一度たずねる。みんな天玉そばの生卵をどうやって食べてるんだろう。箸で崩しちまう前に、丼に唇をあてつゆもろとも丸呑みすればいいのだろうか。ちょっと違う。違うよ。
レンゲだのおたまだので優しくすくっちゃうってのも立ち食いそばの風情に合わない。だって立って食ってんだぜ。そう、食ってるんだ。もはや食べてるんじゃねえ。いただいてなどいねえ。てやんでい、べらんめい。
と荒くれてみたけど、真の荒くれ者というのは生卵がどうとかいちいち気にかけることはない。食券機の前で小首かしげながら天玉そばと天ぷらそばを迷っている男がいたら、きっとそれは俺です。
世界のゴキゲンが増えるといいなって考えたりしゃべったり書いたりしてます。ありがとうございます。