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エッセイ

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エレベーター・やさしい人(中島みゆきの歌によせて)・分身の術など あれこれ
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2023年10月の記事一覧

noteは回文

noteは回文

回文とは、上から読んでも下から読んでもおんなじ文のことです。

「竹藪焼けた」はこどものころから知っていますが、こんなものも
あります。

*旦那ビクついていて「何時クビなんだ?」
(だんなびくついていていつくびなんだ)

*今朝美味しいおでんで美味しいお酒
 (けさおいしいおでんでおいしいおさけ)

*世の中ね顔かお金かなのよ
(よのなかねかおかおかねかなのよ)

*品川にいま棲む住まい 庭がな

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珈琲と #シロクマ文芸部

珈琲と #シロクマ文芸部

 珈琲との出会いは、10歳のころだった。静岡の田舎で育った私にとって、
飲み物と言ったらなんといっても緑茶、それに牛乳、親戚のおじさんがお店をやっていたので、そこで買うジュースくらいだったから。

 当時、10歳年上の姉が婚約し、どんな理由か忘れたがその婚約者のお宅に
ついて行ったとき、珈琲が出されたのだ。蒼い花模様の洒落たカップに
銀色の小さいスプーンが添えられていた。10歳だったわたしは、おず

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わたしのフォローの基準#虎吉の交流部屋プチ企画

わたしのフォローの基準#虎吉の交流部屋プチ企画

フォロワーさんが増えてとても嬉しい。最初の二カ月くらいは、この人にフォローしてもらえたらな、という方を見つけると、恐る恐る「フォロワーになっていただけませんか」とコメント欄でお願いしていた。もちろん、フォローしたうえで。嬉しいことに全員がOKして下さった。

現在は、こちらからフォローしなくても、フォローして下さる方が少しずつ出てきて、フォロー返しするかどうかの判断に迷っている。そのフォロバするか

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秋の思い出#虎吉の交流部屋プチ企画

秋の思い出#虎吉の交流部屋プチ企画

 故郷の実家近く、坂道の中ほどに一軒の農家がある。土蔵のわきの道に面した一角に、年老いた椎の木が一本立っていた。

 桐や椿、柿や栗の木などに混じり、普段は全くと言っていいほど、存在感のない椎の木なのだが、ひとたび秋がはじけて、アキアカネの大群が、いわし雲の下を南西へ南西へと向かって、ひたすら飛ぶころになると、きまって色づいた柿の葉とともに、椎の実がボロボロと大地に向かって踊り始め、椎の木の存在を

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反抗 #嫌いな人から学んだこと

反抗 #嫌いな人から学んだこと

 遠い春の日、私は静岡の片田舎の中学二年生になった。クラス担任は新任のNと言う男性の先生だった。三十歳くらいで、背はあまり高くなく、がっちりした身体、浅黒い顔に少し縮れた髪で目がくるんと丸かった。

 先生は私の得意教科、英語の担当で、難しい箇所になると私を指名し、私の答えに満足げにうなずいた。日本語っぽい先生の発音に少し優越感を持ったりした。

 毎年五月に記録会と言う名前の運動会が開かれ、すべ

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