マガジンのカバー画像

ショートショート

139
ショートショートの数々、知恵を絞って書いています。
運営しているクリエイター

#1分マガジン

ぼくは右京    #1分マガジン

ぼくは右京    #1分マガジン

ぼくは、かあさんと二人暮らしだ。ぼくが繭のような入れ物に入って届いたとき、かあさんは、感激いっぱいという表情でぼくを見、そっと抱き上げた。

「まあかわいい!相棒だから、あなたの名前は、右京よ!
わたしは、かあさん、ね!」

「ぶんかつ」になったから買えてよかった!ともいっていたが意味はわからない。かあさんが毎夜ぼくをぎゅっと抱きしめたから、ぼくの足の付け根がゆるゆるになり一週間入院した。

「ご

もっとみる
山笑う   #1分マガジン

山笑う   #1分マガジン

 句会のメンバーで、小鷹山にハイキングに行くことになった。花を散らせて葉の茂り始めた桜が、緑の木々に溶け込んでほっと一息ついているような4月の始めのことだった。

 参加者9名のうち最年長75歳の小沢さんは人気者だった。俳句の名手で「外出のおしゃれブラウス山笑う」は皆から絶賛された。「山笑う」は春の季語で春の山の明るい感じを表している。それに加え彼女には天性の明るさがあった。

「は、は、は、」

もっとみる