古典文学お手軽読本その10 とりかへばや物語編
はじめに
『とりかへばや物語』は、平安末期に書かれたと考えられる、作者未詳の物語です。話の内容としては、男女が入れ替わるという物語です。「男らしさ」や「女らしさ」って何だろうということを考える上でも、読んでみて欲しい物語です。
男女が入れ替わるという話としては、大林宣彦監督の『転校生』という映画が有名です。最近のテレビドラマでもちょくちょく使われるネタになっています。
そんな話の内容を、すでに平安時代に考えた人がいるなんて! こういう話を古文の授業などでやってくれればおもしろのになあ~と思ったりしました。
1.現代語訳
◎『ビギナーズクラシックス とりかへばや物語』
鈴木裕子:編 KADOKAWA 角川ソフィア文庫
(とりかへばや物語は、古本と今本という2種類があって、古本の方は評判が悪くて、散逸してしまったらしく、改訂版の今本が残っているとのことです。)
◎『とりかへばや物語』
中村真一郎:訳 筑摩書房 ちくま文庫
(原文を忠実に現代語訳している本です。解説では、文章が未熟で、等といっていますが、このような発想の物語を考えたこと自体がすごいことだと思います。)
2.小説
◎『とりかへばや物語』
田辺聖子:著 文藝春秋 文春文庫
(原文に色々と手を加えて、田辺聖子らしく、面白く一つの小説としてまとめています。どんな話か知りたい人は、この本から読んでみるのが良いでしょう。)
3.もう一つ、小説
◎『あかね紫』
篠 綾子:著 集英社 集英社文庫
(この本は、紫式部の娘の賢子と、和泉式部の娘の小式部、もう一人の三人娘の話なのですが、話の内容は、『とりかへばや物語』になっています。しかも、ちゃんと史実に則って物語を組み立てているという、素晴らしい本です。『とりかへばや物語』を読んでからこの小説を読むと、また面白さが分かって良いと思います。)
※扉の写真
富士宮市の富士花鳥園で飼っていたキウイが、青色の卵を産んでいた。