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うたうとは小さないのちひろいあげ 読了〘読書感想文①〙

桃子は高校1年生。中学時代に親友だった綾美も同じ高校に入学したが、まもなく不登校になった。それは中学時代に体験した壮絶ないじめが尾を引いているからだったらしい。一方、人数不足の「うた部」(短歌)に思いがけなく入部した桃子は綾美に対して、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。そしてある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がって…。


桃子は高校1年生。中学時代に親友だった綾美も同じ高校に入学したが、まもなく不登校になった。それは中学時代に体験した壮絶ないじめが尾を引いているからだったらしい。
一方、人数不足の「うた部」(短歌)に思いがけなく入部することになった桃子は綾美に対して、中学時代に起きたある事件の負い目から、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。
本当にこのままで良いのか悩み続ける桃子に、ある同級生が声をかけてくる。
そしてある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がって…

うたうとは小さないのちひろいあげ

『うたうとは小さないのちひろいあげ』 村上しいこ
この本と出会ったのは4,5年前。
最近もう一度読み直した。

高校に進学した桃子。親友の綾美も同じ高校に進学するも、中学の時のいじめが尾を引き数日で不登校に。そんななか短歌を作る「うた部」に桃子は勧誘される。そして、綾美のことで悩む桃子に同級生の彩が声をかける。

中学の時、綾美へのいじめに加担したことを償うような行動をとり続ける桃子。
自分を守るために人を傷つける綾美。
自分の過去と現在を重ねる彩。

都合のいい解釈ではあるが、この三人の思いや行動が僕の心のなかにもあるなと思った。

心友を傷つけてしまったことがあるような気がして(かといって何をしたかはパッと出てこない、新手の被害妄想。)今の今まで大体僕のほうから連絡するし、まだ千切れていない関係に縋っている僕。

僕を守るため誰かれ構わず傷つけてしまいたくなる僕。

昔の心友と今の心友をどうしても重ねてしまう僕。

感情も誰かとの関係も不安定で自分や今日のことを考えるので精いっぱい。桃子、綾美はそんななか新しいものと触れ合い前向きな未来が見えてくる。その新しいものが二人にとったら「うた部」で「短歌」であって、僕には部活のいい思い出はこれでもかというほどないので(苦笑)
少し羨ましくもある。

うた部と短歌に触れるとすれば、短歌、俳句、和歌などの古典に僕は苦手意識がある。古典や文法以外の国語が少々できるばかりに悔しいのだ。

でもこの本は小難しくない、国語の授業で出てくるような基礎を固めるような話ではなく、どれだけ自分の感覚を言葉に起こせるか、その言葉をどれだけ読む人の心に届けるか。それを手探りする本のように感じる。

うた部のなかには
恋愛のうたを得意とする、いと先輩
理屈っぽい業平先輩
短歌に対して興味が本気であるのかはあやしいけど、まっすぐな清らさん。

すごく安心感がある部室の雰囲気。とてもすてきだ。


うたうとは小さないのちひろいあげ
には
空はいまぼくらふたりを中心に
という付き合い始めたのに気持ちのすれ違うふたり。そして性同一性障害に苦しむ転校生の物語。
青春は燃えるゴミではありません
という牧水短歌甲子園を目指す物語
二つ続編がある。

このふたつももう一度よみなおしたいな。


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