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暑さとか存在しない世界の住人、その名を甥っ子(5歳)という
ここ数年あたり亜熱帯化してきた日本列島。
全国的に避暑地が消失し、野外フェスは烈火の炎に包まれ阿鼻叫喚でぶっ倒れてしまうことが容易に想像できた。
子どもの頃から長年貧血症との付き合いがあるので、大好きな野外フェスも今年は見送るべく、思いを断ち切るために前売りチケット販売情報が届くたびにスルーした。
炎天下の旅行も危険なので、実家への帰省一択でお盆休みの予定を組む。
エアコンで涼しい屋内で、のんびり過ごすつもりだ。
猛暑の屋外を避けて、家に籠ってやるぞと意気込んでみたものの…
お盆という名の大型連休
お盆休みは沖縄を除いて日本全国だいたい同じ時期なので、サービス業以外の会社ではシフト勤務を適用して夏季休暇をやりくりしている。
大人が休みになるなら、子どもの当然学業がお休み。
小中高大に通いし学び子たちが軒並み休むということは、幼児の通いし園もお休み。
残念ながら長期でお休みとはいかず、1週間ではあるけれど確実に園児たちが野に放たれるのだ。
酷暑なんてないさ
私にも全力で生きている5歳の甥っ子がいる。
彼にとって夏や冬は普段の延長上なので、大人のように晴れ雨や気温で一喜一憂することがない。
幼児はもともと体温が高いのに、プラスされる外気温が致死レベルだとしても”遊びたい気持ち”が優先されるので、暑い寒いなんて関係ないようだ。
アクティブな男性(5歳)
補助輪のついた自転車に乗りたすぎて、日陰の存在しない道路で乗り回したいとせがむ。
黒いアスファルトが熱を吸収して、加熱し過ぎたフライパン状態になった今なら、目玉焼きでも焼肉でもなんでも調理できそうだ。
大人ならエアコンの利いた屋内でひんやり快適に過ごす方を選択したいものだが、そこは5歳児どうしても自転車に乗れるところを見せたいようで、灼熱の太陽など存在しないとでも言いたげに、屋外へ出たがるのには困った。
情熱の炎であつあつの彼は玄関を飛び出し、家の前の小さな自転車にまたがると勢いよく漕ぎ出した。
一人で遊ばせるのは危ないので、仕方なく私も外へ。
日焼け止めを塗っていない肌を熱光線が襲い、肌はやけど寸前。
皮膚表面がヒリヒリして、赤くなってくる。
お願いだから室内へ
自慢げに補助輪付きの自転車を乗り回す彼に、後生だから…屋内で遊ぼうと説得を繰り返し、自転車で小さな円を3周ほど描いたところで、家の中へ遊び場を移してもらった。
これで安心!
安堵したのも束の間。
エアコンの利かない和室で、大量のぬいぐるみを病人に見立てた病院ごっこが始まった。
日陰とはいえ、網戸にしているとはいえ、暑いってば。
隣の洋室は涼しいのに、なぜゆえにこの和室で遊ぶのか。
というのも、ここには幼児用の室内ジャングルジムがある。
そして今日は病院として稼働している。
タオルや毛布を掛けられた大小ぬいぐるみの入院患者がたくさん寝ており、とても暑苦しい風景が広がっている。
やる気満々な天才外科医が、次々に手術を施し入院患者がどんどん増えていく。
この部屋には、クレーゲームで持ち上げた商品たちが何十体とおり、永遠に手術ができるだけの患者たちが横たわっている。
先生!ちょっと休憩、しましょうよ。
涼しい隣のお部屋で、お菓子食べましょう。
天才外科医もお菓子には勝てないようだ。