見出し画像

【和訳】 露の崩壊を狙う欧米の嘘の帝国。その③

前回前々回に続き、露安全保障会議書記パトルシェフ氏のインタビューの紹介。では早速。

米中心の一極集中型世界の終わり

質問:米中心の世界が本当に崩壊するのか?
回答:それは最早現実であり、その現実に沿った態度をとる必要がある。その点に関し、露は主権、国益、文化的そして精神的アイデンティティ、伝統的価値観と歴史観の確固たる防衛と保護の道を選んでいる。
我々の精神的、道徳的価値観は、我々が自分を失わず、祖先に対して正直であり、個人や社会そして国家を守り抜くことを重要視している。一方欧州はは別の選択をした。彼らは所謂リベラルの価値観を選択したがそれは実施的には新自由主義(ネオリベラリズム)なのだ。彼らが選んだ価値観は、個人を団体より優先し、愛国心を抑圧し、そしてだんだんと国家の消滅を齎すのだ。今となって、このドクトリンに従うと欧州も欧州文明も未来はないことが明らかになっている。欧州はどうやら過去の過ちを繰り返す様だ。
質問:もっと具体的にいうと?
回答:いくつもある。歴史を見ると大混乱はいつも、時の流行りの思考が広がりやがてその思考こそが齎す破壊によって始まっていた。仏革命を思い起こすと良い。仏革命の穿った掛け声の反動でナポレオンの暴虐が始まり欧州の半分を血の海となった。しかし露がそんなナポレオンの歯を折った。
我が国は当時どうしたのか?仏を分裂させたのか?パリを焼き尽くしたのか?その正反対だ。アレクサンドル1世は仏国家再建、そして1815年には欧州神聖同盟設立の立役者となった。この同盟は、国家領土保全の尊重、ナショナリスト運動の抑圧を通じ、欧州に40年間続いた平和を与えたのだ。
それから100年余り経つとナチズム・イデオロギーが誕生した。ソ連は、このイデオロギーを破壊すべく全力を尽くしたのと同時に、戦後独の独立国家としての再建の創始者となった。ヤルタ会談でスターリンはこれを強く主張した。1980年代後半に、独統合を最初に支持したのもソ連だった。我が国は歴史的に、地政学的のみならず世界の道徳的「気候」形作るうえで特別な役割を果たしてきた。
質問:アングロサクソンの残りの世界とのコミュニケーション形式は「海賊行為」だとすると、現在露に対しても「海賊襲撃」が行われていると言えよう。この点を踏まえると、我が国の金および外貨預畜を国外に置くという決断はどこまで正しかったのか?
回答:この決断は、我が国の財政安全保障の観点から間違っていたことが判明した。一方で、欧米の露に向けられた行為は欧米自身にとっても大打撃となっている。既存の国際金融枠組は、世界の準備通貨の発行国としての米への信頼を大前提としている。半世紀程前、金のファクターは存在していたが、1971年に米が自通貨の金への紐づけを切り離したことを受け、実質的に紙幣の排出は制御不能となっている。
危機寸前の状況で経済を延命させようと、米は国債を担保に金融機関や企業そして一般国民に資金を注入し続けている。これは米欧での急速なインフレ上昇を引き起こした。米の対外債務は30兆ドルを超えている。しかしなぜか、米は露のデフォルト(債務不履行)の可能性について議論しているのだ。米自身がそろそろデフォルトを宣言しないといけない状況だ。望ましくない状況の回避と米を更に豊かにするために、人工的に世界規模での危機が作り出されている。つまり、米は自国の問題解決を世界の他の国々、中にも欧州に負担させようとしている。
質問:欧州はこれに納得しているのか?
回答:寧ろ、欧州は喜んで、米の指図に従い、崖っぷちに向かって行進している。この意味で、冷戦時代と比べて多くのことが変わった。冷戦当時は、欧州はもっと自信を持ってワシントンに抵抗していた。当時はまだ、古株の現実主義者の政治家が残っていたからなのかもしれない。当時、壁はベルリンにあったが、今かは欧州支配層の頭の中にある様だ。
1980年代はソ連の経済を弱体化させるために、米は欧州企業に、露からの天然資源調達を禁じようとした。当時の欧州は、ワシントンからの指示に従うことは無かった。一方では、米は自国企業に、沿岸採掘技術の販売を禁じた。その結果、数十もの日本、米企業が苦しんだ。ソ連の欧州へのガス・パイプライン建設を遅らせるために、ワシントンは偽情報を使った。今も同じ手口だ。
 
次回はこのシリーズの最終回とし、今日はここまで。

いいなと思ったら応援しよう!