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アフリカは西側につく?つかない?

露によるウクライナでの特別軍事作戦開始直後に、ケニア共和国のキマニ国連大使あげたスピーチが日本を含む西側のメディアで『アフリカ諸国がロシアの軍事侵攻をこうみているんだ』という具合で盛大に取り上げられた。大国が小国を虐めるのはまるでアフリカが植民地国家にやられたのと同じだ、という類の話しだった。国連以外では、南アが杓子定規の一環で平和的な手段による紛争解決を望む旨での声明を、アフリカ連合の事務総長と議長が各々停戦を求める声明を出した。大所はここまでたった。なぜ『杓子定規』というと、4月上旬(7日)実施された露を国連人権理事会の理事国資格を停止するという決議案に対してケニアも南アも投票を棄権したのだ。露のラブロフ外相がいう『米のとんでもなく下品な手口を使った圧力』があったと考えると、投票棄権でも十分な英断だと言えるのではないだろうか。
先月末も、アフリカが露をどう見ているかを象徴する事例を紹介したが、その後実際にアフリカ諸国がどう動いているかについて少し触れたい。

露の人権理事会理事国資格停止投票

4月7日に、国連で露の国連人権理事会理事国資格を停止するか否かの投票が行われた。結果、193か国の内93国の賛成票で『可決』。なぜそうなるかというと、反対票は僅か24票しかなかったからだ。その他58か国は棄権、残りは欠席しているので、可としても否としても計算されない。これが国連総会の投票ルールなのだ。
しかし、棄権した国も欠席した国も、表立って発言出来る程の国力は無いだけで、内心露を支援している。

2022年4月7日 国連総会 投票結果

全貌はとりあえず置いておくとして、ここではアフリカ諸国の投票結果を見てみたい。

  •  賛成:チャド、コモロ諸島、コートダジュール、コンゴ民主共和国、エリトリア、リベリア、リビア、マラウイ、モーリシャス、シエラレオネ、セイシェル諸島 計11か国

  • 反対:アルジェリア、ブルンジ、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、エチオピア、ガボン、マリ、ジンバブエ計8か国

  • 棄権:アンゴラ、ボツワナ、カーボベルデ、カメルーン、エジプト、エスワティニ王国、ガンビア、ガーナ、ギニアビサウ、ケニア、レソト、マダガスカル、モルディブ、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、南ア、南スーダン、スーダン、トーゴ、チュニジア、ウガンダ、タンザニア計25か国

  • 欠席:ベナン、ブルキナファソ、ジブチ、赤道ギニア、ギニア、モーリタニア、モロッコ、ルワンダ、ソマリア、ザンビア計10か国

 つまり、アフリカ大陸の国連加盟53か国の内、僅か11か国のみが賛成、それ以外は反対だったと言っていいだろう。繰返しになるが、『米のとんでもなく下品な手口を使った圧力』があったと考えると、42か国の英断だと言えるのではないだろうか。

国会演説とウクライナ大使館の国際法違反行為

既に『習慣化』している、ゼレンスキー氏の各国・国際機関での演説。日本を含む、米・欧の複数ヵ国や国連等で情に訴える演説を幾度も実施してきた。しかし我々がいる西洋メディアのパラダイムからよく見えないのはアフリカの動き。世間的に比較的貧しいとみられがちなアフリカだから、ゼレンスキーからすると何もたかれない訳だから、演説等をしていないと思うのかもしれないがそうではない様だ。
順不同になるが、まずアフリカ大陸最大級の国際組織であるアフリカ連合。現在当組織の事務総長を務めるマッキー・サール氏が先日、ゼレンスキーからアフリカ連合の会合でスピーチをしたい旨での打診を受けていると公式ツイッターで発表した。

あるのは、マッキー・ソールの、ウクライナでのアフリカ人に対する差別を非難する声明の方だ。これは、露の特別軍事作戦開始直後にウクライナを逃れようとしていたアフリカ人がウクライナの武装組織(国軍とは限らない)により出国を拒否されるなど、白人とは明らかに違う対応を受けたことに対する反応だ。
もう一つ、当記事の冒頭に触れたケニアは皮肉なことに、ゼレンスキー大統領の同国議会の前で演説したいという要望を叶えることは無かった。そう、ノー、ゼレンスキーだ。国連大使の露を批難するスピーチは、やはり杓子定規なので、あまり突っ込まない方が良いかもしれない。
セネガルなんかでは、同国内でウクライナでの戦闘行為参加目的で所謂『義勇軍』への参加募集を違法とし、現地のウクライナ大使がセネガル外務省に呼び出され、通告。ナイジェリア政府も同様な情報を批判し、自国民の(ウクライナによる傭兵の)募集を断った。後に、セネガルもナイジェリアも自国民のウクライナへの渡航を禁止した。南アでは、ウクライナ大使館による『義勇軍』への参加募集を外交機関の活動を定める国際法に反するとし、ウクライナ側のこの行為もどうやら失敗に終わった様だ。

終わりに

アフリカに限らず、どんな国の政府であれ自国益を最優先に考えない限り(少なくとも上手くバランスとらない限り)長続きしないのは現代の常識。識字率、学歴等の平均値が上がると国民の物事の理解も高まると思われがち。確かに、文字を読めて少しでも批判的思考ができる人間なら、洗脳を鵜呑みにしないと考えたいところ。では、識字率が99%と言われる日本はどうなのか?東京の恵比寿駅内多言語表記の中でもロシア語表記を、客からの『不快だ』という苦情により隠したのだという。滋賀県の宿がロシア人の宿泊を禁止する様なHP記載も同じ様な話しだ。その後、何れも不適切な対応だったとして、元に戻したのだが、そもそもこのような事態が罷り通り始めていることが極めて危険なのではないだろうか。第二次世界大戦、真珠湾攻撃の後、米国でとんでもない差別を受けていた日系人のこと、現代の日本人は忘れてしまっているのだろうか。。。

今日はここまで。


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