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"食べるしあわせ"について
ほかの誰かから「少食っていいね」「食べても太らないんでしょ」って、恰もわたしが楽をして生きてきたかのような口調で言われても、ふしぎなことに怒りや悲しみは微塵も湧かなくて、いっそそのまま肯定して自分自身をも錯覚に陥れてしまえば、この先ずっと苦労しなくて済むんじゃないかと思うことがある。
とは言え、それができないのは、給食が嫌で嫌で毎日吐いていた小3の時の昼休みや、ケーキを食べるのが苦痛で仕方なくて行かなかった友達の誕生会や、外食に連れ出されて泣きながら食べ物を口に押し込んでいた小さい頃の記憶が、わたしのどこかにこびりついていて、ふとした時に鮮明に思い出されてしまうから。
最近は自分で料理をしないと食欲が湧かなくて(自分で作ったものも少ししか入らないんだけど)、生きるために食べなくちゃいけないから食べている、という感覚。"食べるしあわせ"がどんなものだったのか、しょっちゅう忘れてしまう。次に思い出したら、食べ物の美味しさをどこでどんな風に感じているのか、物体がわたしの喉を押し分けて入ってきて体内でどろどろに溶かされてゆく過程が気持ち悪くないのかどうか、1年前の秋に突然やってきて過ぎ去っていった謎の過食の現象に原因はあるのか、その辺のところを意識してみたい。
食に関しては辛い経験も多くしてきて、コンプレックスも抱えているけれど、喧嘩したときなんかに「わたしはこんなに苦労してきたんだから、少しはわかってよ!!!」みたいなことを叫ぶような不幸を武器にして周りに当たり散らす大人にはなりたくないし、いろいろ重くて付き合いづらい人だなと思われても困るので、ここに書くだけで留めておきます。
ところで、わたしは単純な女なので、料理に対するモチベーションが上がるような小説を読んでみたところ、取り敢えずなにか作りたくてたまらない衝動に駆られることには成功しました(笑)角田光代さんの「彼女のこんだて帖」、感想はまたそのうちまとめます。
レシピもたくさん載っています。もち米を買ったら挑戦したい、中華ちまき。
そんな訳で、料理をすること自体は苦ではなくなったものの、まだ食べたいと思うところまでは行き着かないのが残念。早く治るといいなあ…。