2つの父子物語
私のBucket Listには、さまざまな夢や目標が書かれています。
「息子二人を知覧特攻基地へ連れていく」
息子達が小さいころからよく家族旅行していたので、いつでもいけるだろうと思い年月だけが過ぎていきました。小学生で連れていってもよくわからないだろうな、もし行くとしたら特攻隊員と同じ年代になったころに連れていきたいと…
2021年2月、春から長男は大学3年生、次男は消防士として新たな人生の一歩を踏み出すタイミングで、息子達に話をしたところ快く「行こうや」と快諾してくれました。
ええ歳して親と旅行?と私が若いころは思っていたので息子達は素直に育ってくれてよかったと思いました。家族そろって4人で旅行するのも最後だろうと思いながら鹿児島へ出発しました。
知覧特攻平和会館には、特攻隊員として命を捧げた若者たちが家族にあてた手紙や零戦(ゼロ戦)などが展示されています。私は、手紙を読むとすぐに涙が出てきたので、長男と次男の背中を観察していました。
性格でるなと思ったのは、長男は私と同じでさらっと見ながら進みます。次男は、1枚1枚丁寧に読み込んでいるのか、動きがゆっくりでした。
旅の中で、兄弟それぞれが特攻隊員の手紙の読み方や感じ取るものが異なることに、私は感慨深いものを感じました。同じ家族でありながら、それぞれの感受性や考え方の違いを改めて認識することができました。
同時に、静かな知覧の空を眺めながら、同じ世代の息子を特攻隊員として送り出す親の気持ちを考えるといたたまれない気持ちになりました。
旅の終わり、鹿児島から東京への帰路。離陸前の飛行機の中で、珍しく機長が話を始めました。
「私は空港で整備士として働く父の背中を見て、パイロットに憧れました。今日、皆さまが搭乗されている飛行機が、父にとって最後の整備となりました。左側にいらっしゃるお客様は、退職のはなむけに手を振っていただけると嬉しいです」とのこと。
私たち家族は、たまたま左側の席に座っていたため、機長の父へ感謝の気持ちを込めて、思い切り手を振りました。
父が整備した飛行機で息子がパイロットとして飛び立つ。父は息子の飛び立つ姿を笑顔で見送る。この感動的な瞬間を目の当たりにし、私は特攻隊員として散っていった若者たちが、このほほえましい光景を見て、喜んでくれているだろうか、ひょっとしたら機長に生まれ変わっているのかも、いろんな想像をしながら目に涙が浮かんできました。
ANAも粋な計らいをするなと思いつつ、この感動的な話を息子2人がリアルに聞いてくれたことに感謝の気持ちで一杯になりました。
こうして、無事2つの父子物語として、My Bucket List「息子二人を知覧特攻基地へ連れていく」は達成できました。
#未来のためにできること
新たにそのページには「孫を知覧特攻基地へ連れていく」と記しました。