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カフェ運営に、【領域展開】を用いる。

以前書かせていただいた通り、
わたしのカフェは、年に1ヶ月間ほど、店内にお客様を迎え入れることをお休みして、焼き菓子と紙コップの飲み物の、お持ち帰り販売の専門期間を設けています。

この特別期間、本当にたくさんのお客様にいつもと違うスタイルでご利用いただいて、妻1人手作業の生産能力限界までの量を、毎週ご購入いただくことができました。

そして本日から、またいつもの、狭い店内にお客様をお迎えして静かな時間をお楽しみいただくスタイルへと戻りました。

・・1日を終えて、とても、疲れました。笑


開店前の準備と、閉店後の片付けを含めると、
14時間ほどは立ちっぱなしでの作業となりますので、40代半ばの私たちには、かなり酷な労働環境であります。

そして何より、お持ち帰り営業期間と比較して、やはり精神的な疲労が大きいことが実感されます。

労働時間は、店内飲食の時と、お持ち帰り営業の時と、然程変わらないのです。

けれどやはり、自分と同じ空間にずっとお客様をお迎えしていることで生ずる疲労は、比べ物になりません。

といっても、実はホール担当のわたし(店主♂)は、接客?のようなものを一切行いません。
商品の提供時に、商品のご説明を一方的に発信することはありますが、お客様のお話を伺うことは基本的にしません。

お客様とコミュニケーションは、取らないのです。

それなのに精神的に疲れるなんて、こんな弱音は真っ当な接客業をやっている諸先輩方に聞かれたら、本気で怒られると思います。

なので、会話に疲れたりしている訳ではなく、単に『空間を提供する』ことに疲弊する訳です。


呪術廻戦という漫画がありました。(まだ最後まで読んでいません。)

この中に、『領域展開』というワザ?が出てきましたね。

「領域展開」とは、「術式を付与した生得領域を呪力で周囲に構築する」こと。もっと嚙み砕いて言うと、「呪力によって心象風景を具現化した結界を作る」ことで、その中に相手を閉じ込め攻撃します。  

https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1716442730#:~:text=「領域展開」とは、,もごく一部のみ%E3%80%82


大袈裟だと思うけれど、自分がカフェでやっていることは、この『領域展開』に近いのです。
・・本当に近いかな?笑

生得領域とは術者の心の内、独自のイメージ、精神世界とも言えるものです。

同上

カフェという空間に、まさに自分の心象風景(生得領域)を具現化している訳です。そしてそこへお客様を閉じ込めています。(攻撃をしている気はないけれど。)

そして当店では、その領域へ外部から容易に侵入できないように結界を強く張る必要があり、その為に ・看板を出さない ・完全予約制 などの術式を用いて結界強度を上げています。

「領域展開」の効果は大きく2つ。1つ目は、ステータスの上昇です。自分と相性の良い環境を作り出すことで自分のステータスを底上げすることができます。

同上

このステータスの上昇は、かなり強く実感しています。わたし(店主♂)は、店から一歩外に出ると、人間のクズです。生活能力が皆無で、また社会性にも欠け、だらしなく、不器用で甘ったれで、秀でた部分は何もありません。

けれど、領域展開により、自分にとって相性の良い・居心地の良い空間を生成することで、その中ではまだ少しマトモな感じ?で、働いています。

領域内に閉じ込められたお客様は錯覚して、「しっかりしている」と評していただけることもありますが、これも全てわたしの領域内に引きずり込まれたことによる効果です。


2つ目は、領域内で発動した術式が必ず命中すること。術式が付与された領域内に閉じ込められた時点で、「術式が命中している」状態であるため、術式を発動させれば必ず当たるというわけです。これは戦闘において大きなアドバンテージになります。

同上

この2つ目のメリットの恩恵も、強く受けています。
お客様は、わたしの焦がれる心象風景の中【手作りばかりで、粗末で、狭くて、静かで、控えめで、奥ゆかしくて、そんなカフェ】に閉じ込められて、そこではわたしの術式  "静かな時間を愉しむ”  が必中となります。

賑やかな街中で、如何にわたしがこの術式  "静かな時間を愉しむ“  を発動させても、誰にも命中することなく終わりますが、領域内では必中効果を持つのです。


ただし、この『領域展開』にはもちろんデメリットもあります。

「領域展開」は莫大な呪力を消費するという欠点があります。基本的には短時間で何度も使用することはできない奥の手なのです。

さらに、強力な力ゆえに術式そのものにも負担がかかり、「領域展開」直後は術式が焼き切れてしまい、一定時間使用が難しい状態になります。

同上

閉店後のわたしは、まさに『焼き切れた』状態になり、人間のクズ以下のクズになります。
わたしが感じている疲労感は、肉体的なものとはまた別に、呪力の消費といった側面も考えられます。


また、領域(結界)を破られるという事態もありえます。

(領域展開への)  最も有効な対抗策は、こちら側も領域を展開すること。その場合、より洗練された術がその場を制します。相性や呪力の量などによって勝敗が左右されることも。
要は強い方が勝つという力技。

同上

例えばですが、当店は心苦しいけれども、静かな時間を愉しむ為に、小さなお子様のご入店をご遠慮いただいてしまっております。

子供には絶対に敵わない(可愛すぎる)から、仮に領域内に元気なお子様を迎え入れてしまった場合、お子様の無垢で活発な領域の力に押し負けて、わたしの領域はいとも簡単に破れて崩壊してしまうでしょう。

なので、このルール(制約)は必ず守って、結界強度を上げねばならないのです。


他にも例えば、“異常なほどに匂いの強い香水”という術式をお使いになられているお客様と領域の押し合いになると、わたしの用いる術式のコーヒーや紅茶の香りは簡単に敗北し、ステータスの底上げ効果や必中効果もなくなり、ただのアタフタした落ち着かないおじさんになります。


もの好きなことを、長々と語ってしまいました。

世の中の、個人で大切にカフェを営む店主さん達は、皆んな必ず洗練された『領域展開』の使い手だと思っています。

是非、各々の【領域展開】の技名を考えてみたら、面白そうではありませんか?

因みに、、呪術廻戦の作中での領域展開の名前は、、

・伏魔御厨子(ふくまみづし)
・蓋棺鉄囲山(がいかんてっちせん)
・自閉円頓裹(じへいえんどんか)
・嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)

などがあります。


・・

・・・・


おどろおどろしくて、こんな技名を使いこなしてるカフェがあったら、必ず潰れると思います。笑

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