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なぜ働いていると本が読めなくなるのか

今年は良書に触れる機会が多くうれしい。
三宅香帆氏によるこちらの本もなかなか学びが多かった。

さて、本書は疲れていてもスマホを触る時間はあるのに読書ができなくなっているのはなぜか、というテーマから労働と読書の関係について考察した本である。

労働と読書の歴史を紐解き、情報とは知識からノイズを除去したものと定義、読書と情報を求める社会の相性の悪さを喝破する。
結論としては労働だけにならず「半身」で労働に取り組むことを提言する。

さて改めて自分に置き換えてみる。
個人的には読書とは投資であり、いつか報われるかもわからない「Connecting the Dots」の類であると認識している。
ノイズがない画一的な情報ほど面白くないものはなく、レコメンデーションがいつも同じでは飽きがくる。
飽きというシステムはよくできていて、何かを始めるにはもってこいの仕組みになっている。
アレとコレという様々なものをランダムに組み合わせて一種のカオスの状態をから何かを生むために読書をしているので自分の中では知識が予想外の化合を起こし閃きを得るというのが読書に時間を投資する意味だと思っている。
そんな状況なので、きっと労働時間が減れば私は遊び出すのであまり択一的競合は起こしていないかもしれない。

あとがきにもあるがこの方は労働が大好きに違いない。
ご自身への警鐘として労働に入れ込まないことを宣言しているほどである。

それにしてもこれだけ綺麗に知識を整理して提示できる慧眼がいるとは日本も捨てたものではない。

時代の空気感の捉え方等も同時代を生きた人間からすれば惚れ惚れするほどだ。
それだけでも読む価値がある本だと思う。

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