タイパという言葉があるが、年齢にかかわらず浸透してきている気がする。 何かに使える無駄こそ至高である私としては効率性こそが求められる時代は大変生きづらいものだ。 さてそんな私にも救いの書が現れた。 それがこちらの本。 手書きの効果を脳の働きと絡めて解説、デジタル重視の現状に警鐘を鳴らす。 AIを始めとするデジタル技術の進歩は著しい。 ついていかねば置いていかれることも何となく想像できる。 一方で、AIの進歩は動画やデジタル写真の証明力を否定するほどのパワーを持っている。
不動産には底知れぬ魔力がある。 衣食住という最も根源的な身近な存在でありながら、大きなお金が動き、コツコツと稼ぐことがバカらしくなるくらいの利幅を得る人もいる一方で債務超過で破産寸前という人もいるだろう。 そんな不動産の未来について「なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか」の牧野氏が見通す。 不動産に関しいろいろな観点から状況を分析、未来を予想するが、最終的な結論としては、不動産は価値によって評価されるべきでそのためには野放図に需要任せにするのではなく一定な私権の制限も必要とい
街の書店でブラタモリの本を見つけた。 せっかくなので松江、出雲、軽井沢、博多と個人的に好きな街が並ぶこの本を購入。 特に面白かったのが松江。 松江の街を作ったのは普請上手として知られた堀尾氏。 丘陵を削り堀を作り湿地を埋め、わずか5年で松江城と城下町を完成させたという。 おそらくこれが都市計画のダイナミズムであり、堀尾氏の街を作る場所にも慧眼さを感じる。
農業を生産性で見た時にどんな風景になるか、を費用対効果から見たのが本書。 補助金の多い稲作は当然生産性は低くなる。この観点で見ると群馬県が最上位となるようだ。 農業県のイメージは稲作が強い県とリンクしていることもありなかなかに驚きのあるデータである。 結局のところ農政の弱い県ほど農業県としては強くなる。 まあでもそれはそうだ。 民間でやれるほど効率性が高ければ補助金がなくても金になるし、それが民間主導で行う農業の合理性を担保する理由である。 この着眼点がおもしろいなあと
今年は良書に触れる機会が多くうれしい。 三宅香帆氏によるこちらの本もなかなか学びが多かった。 さて、本書は疲れていてもスマホを触る時間はあるのに読書ができなくなっているのはなぜか、というテーマから労働と読書の関係について考察した本である。 労働と読書の歴史を紐解き、情報とは知識からノイズを除去したものと定義、読書と情報を求める社会の相性の悪さを喝破する。 結論としては労働だけにならず「半身」で労働に取り組むことを提言する。 さて改めて自分に置き換えてみる。 個人的には読
職場を見渡してみたとき、単純に憧れを持って管理職になりたいと思っている社員は少ないと感じている。 とかく経営陣との間に挟まれる中間管理職は見ていて可哀想に思える。 プレイヤーをしつつチームマネジメントをする彼ら彼女らをみるとあまりに多忙すぎてお世辞にも魅力的とは言い難い。 この本はそんな感覚をデータで視認化してくれている。 そして処方箋を構造的な観点と管理職実務者の観点から用意してくれている。 しかしながら、おそらくこの処方箋ですら完璧ではない。 例えば早くから特定人材
どちらかと言えばエッセイに近いのではないかと思うが、世の中にある「あるある」をバッサリと「経営」という言葉で表現している書。 「言葉で表現している」と書いているのは誤りではなくて、そう感じたから。 あくまで経営の観点から書かれたものではないと思う。 さて、そんな本書だが、ちょっと知的でシニカルなユーモアに溢れているので好きな人にはたまらない一冊だ。 どの章もどこか心当たりがありそうで耳が痛くなるようなものばかりだ。 あるあるを痛快に切っていくので読後には爽快感もある。 個人
人口動態から都道府県の未来を予想するとても「野心的」な書。 人口はある程度未来予測しやすく、海外からの転入・転出以外の要素では、いきなり人口増になったりする可能性も低く、大規模な災害、戦乱でもない限り減少の観点でも大きく外れるものでもないだろう。 また人ひとりが一人前に成長するのに最低18年はかかることからこれも未来予測を容易にする要素となる。 個人的にはそれほど日本の将来には悲観的な思いは抱いていないが、今回の本題ではないので傍に置く。 さて、本書を自分なりにではある
たまたま他人様の本棚を見る機会があった。 誰かがもう話している気がするが本棚にはその人の性格が出そうだ。 並べられた本には何らかの嗜好が顔を出す。
ロバート・キヨサキ氏が一躍有名になったこの本を数年振りに手に取った。 中身についてはもう多くの人に読まれているし、私より上手く説明されている方も多々いらっしゃると思うので特に説明しない。 数年振りに本書を手に取ると風景が違って見えた。 以前は文をそのまま読んでいてそんなものか、と思っていたが、今回は少し見え方が違った。 別に自分が金持ちになったとか、貧乏になったからではなくて、書かれていることの意味が以前とは別の角度から捉えられるようになったということである。 本質で
心理的安全性とかいろいろな考え方が出てきているが、コーチングもちょっと前からよく言われており、使うかどうかは別としてマネージャーとしては知っておいて損はないものになりつつあるだろう。 コーチングの定義については本書で詳しく検討されているが、簡単に言うと相手の力を引き出す活動ということになるだろう。 本書ではそうはならんだろう、という内容も混じりつつもGROWモデルやケーススタディも交えて説明されているのでイメージもわきやすい。 とっつきやすいところがよかった。
フジドリームエアラインズ(FDA)は気鋭のリージョナル航空会社である。 リージョナル航空会社とは、いわゆる地方間を輸送を主とする航空会社になる。 地方間交通をキーに地方創生を掲げるFDAは、続々とラインを拡大し成長した。 それは特にコロナ前までは顕著であった。 個人的にはFDAには今翳りが見えてきていると思う。 当然ながらコロナ禍はFDAに小さくないダメージを与えているだろう。 大手航空会社のようにドル箱路線が多くあるわけではない以上ダメージを受けたと考えたのが自然である
新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 2023年はいろいろと思うようにいかないことも多い年でしたが、最低限のラインはなんとか死守できたかな、という1年でした。 今年はもっともっと時間を上手に使いながらやっていきたいと思っております。 もちろん読書もコンスタントに続けていきたい。 飛躍の年になるよう頑張ります。
法学部生であれば会社法の教科書といえばこの方の本は一度は目にしたことがあると思う。 久方ぶりに新書を読むことに。 会社法の大家の本らしく、改正に至る背景がよくわかるが、入門ではないかなー。 多少民事法をかじった人でないと難しいかも。 とはいえ応用が強いわけでもないので法学部の民法の講義を多少受けてから読むのがいいかも。
モーダルシフトという言葉が使われ出してから若干貨物列車は復権しているが往時に比べると重要度は低下している。 鉄道貨物が重要な位置を占めていた頃を振り返ることで現在にも通じるところがあるかも知れない、そう思いこの本を手にした。 昭和40年代は国鉄貨物の黄金期にあたり、まだ炭鉱もなんとか稼働していたころだ。 鉄道貨物は長距離で強みを発揮するので、逆に積み下ろしの時間があるため短距離輸送は向かない。 また石油はある程度現在でもシェアを持っている。 国鉄はコンテナへの対応が遅れ
お恥ずかしながら私自身は全く継続力がない。 アレやコレやといろいろなものに興味が湧き、少しかじってまた次に行くので定着しない。 飽き性でもあるので知識も表層的でいい加減なものだ。 本書は目から鱗、というかなるほどと思える勉強法の気付きの書である。 完璧をめざすと失敗するので、習慣化を徹底してコツコツやるとよいというものだ。 一つ一つは当たり前なのだが、こうしてまとめてあると頭が整理できて良い。 本書によれば人は死ぬ間際に「もっと勉強すればよかった」と思うそうである。 そ