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⑤今世ではもう、誰も傷つけたくない。



前回の続きです。


(ジャックの話…。

ジャックの人生の流れは知ってました。

しかし…深めていくと、驚く程の気付きがあった。


ジャックの話は詳細を思い出し、書き留め、また思い出し…この作業は時間がかかりました。

それは、魂に触れるから。

揺るがない思いに触れるから。

向き合う事は怖い事であった。

深める事で見えてくる事。

深める事で向かい合わなければいけない事。

えぐられるような感覚、痛み、恐怖。


それでも…と。


しかし、全てが今だからできる事でした。


今回ではまだ終わりませんが、読んていただけると幸いです。)



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王様が亡くなった。 




急死であった。


次の王位について。


時代の転換期である。




王位継承者は、


王子と、もう一人。






今後後継者を決める事になる。







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王位継承には王の子であるジャックが仕える王子と、

王子の異母兄弟の弟エリオットがいる。


王子の母は王子を産んでから産後調子が悪く、

王子が1歳になるのを待たずして亡くなってしまった。


そこで、南の国との関係を維持する為に南の国から姫を迎えた。


そこで産まれたのがもう一人の王子、王子の弟(エリオット)である。



王子とは違い、エリオットはよく言えば天真爛漫。

過激な事を発言したりもしていたようだ。

それをいいように扱おうとする配下も増えていた。



しかし今まで大祭の場など表に出ていたのは王子である。

ゆえ、王子が継ぐはずであるとほとんどの人間がおもっていた。





しかし…

王の死を皮切りに葬儀の際など、エリオットが前に出てくるようになった。


王妃が力を出してきたのだ。


思ったよりも支持者は多く、

王子の暗殺の噂も聞いた。

細心の注意を払いながらの生活を続けていた。


ジャックサイドも何度も何度も話し合いを行った。

継承の儀は少し先になる。






知見者や国の重鎮達も集まり、

何度も話し合いが繰り返された。

その中で。

「実は王子は王の子ではない」

「王子の弟、エリオット様こそが真の血筋だ」

聞いていられないようなデマが流始めた。



また、エリオット本人も王位を継承を希望するとも言い出していた。



継承の儀は、

権力と切り離された中立である教会によって取り仕切られる。



今は喪に服し、沈黙の時間。

誰も大きくは動けない。


この間に策を練らなくてはいけない。



本来は早く決めないと情勢も安定せず、

休戦中である隣国(東の国)に攻められる危険もある。


それは避けたいが喪に服すのは仕方がない。


今でも東の国との戦争の傷跡は残っている。




ジャックは戦後生まれであるが、

レオンさんも戦争孤児であり、

ジャックの父親世代は戦地へ赴いている戦争経験者である。

常に東の国の行動には目を光らせていなければならない。



継承の儀まであと一月となった頃。


ジャック達も王子を王にする為に支持者を増やそうと駆け回ったが…。



王妃の力を見せつけられていた。

南の国(王妃の出身国)からの支援を受け、

元王の臣下達は買収されて始めていた。



そんな時、

王子の弟のエリオットが東の隣国と繋がっているのでは?

という最初の情報が入った。


門番の兵の仕事(門番で立っている人ではなく、門で城内に入る人や荷物の管理する仕事)となっているジャックの同期からの情報だった。

信用できる所からの情報。


王子の弟、エリオットの持ち込む荷物の中に、東産の産物があると。

素人目には一見分かりにくいものだが、間違いなかった。



東の国との繋がりがある可能性が出てきた。

東の国とは休戦中であり、交流は持ってはいけない。

叩く材料にはなるが、そもそもそれこそが罠かもしれない。



時間との戦いの中、極秘に調査を始める事になる。




何より時間がない。


王子の弟のエリオットが外から持ち込む荷物(南の国からの品々など)には、確かに東の国のものがまざっている。


しかしそれだけでは決定打にはならない。


また同時頃、東の国との国境付近にもエリオットの兵がいるとの情報が入る。


あらゆる手を尽くして聞き出した情報によると…。


○エリオットは東の国と密会を行う事がある。

○場所や時間は毎回違う。

○場所の特定はできない。


しかし、東の国との連絡は書状でのやり取りをしている。


書状は一般荷物の中に紛れ込ませていると。



王子弟に支持が集まる中、


もし近日中にその会合があるなら。


その現場を抑える事に賭けるしかなかった。






ジャックは一つの策を提案する。








(続きます)




私は、“貴方”に会えると

信じている。





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