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【フォレスト出版チャンネル#214】ゲスト/漢方|年代別カラダの不調の改善方法

このnoteは2021年9月8日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

年代別お悩みランキング

 今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める今井佐和です。昨日から「人生100年時代を体からアプローチする! 300年のベストセラー健康本『養生訓』の知恵」というテーマでお話をお伺いしております。本日、2回目も引き続きスペシャルゲストをお呼びしています。『わがまま養生訓』の著者、鈴木養平さんと編集者の水原さんです。どうぞよろしくお願いいたします。

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鈴木・水原:よろしくお願いします。
 
今井:昨日もお話しさせていただいたのですが、鈴木さんは薬剤師であり、薬日本堂漢方スクールの講師、そして日本漢方養生学協会・理事長でいらっしゃいます。30年近く漢方専門相談員として活動し、漢方養生指導師の育成などにも従事しておられます。
本日は「お悩み別、漢方アドバイス」ということだったんですけれども、やはりライフステージによって悩みはいろいろと変化するのかなと思います。例えば、結婚や出産などで人生が変わっていく30代ですとか、脂がのってくる40代、そして体に不具合が出やすくなってくる50代、年代別でお悩みが違うかと思うんですけれども、鈴木さんはいろいろと漢方のご相談を受けていらっしゃるかと思うんですけれども、それぞれに多い悩みっていうのはどんな感じなんですか?
 
鈴木:はい。私は、薬日本堂漢方薬局で長年ご相談を受けていたんですけれど、直近の2020年の薬日本堂データを見て、年代別の男女のお悩みの第1位をちょっとお話していきたいと思うんですけども。まず30代ですね。30代の女性のお悩みの第1位が「不妊」。男性が「疲れやすい」になります。そして40代になると男性、女性共に「疲れやすい」が、第1位。50代になると、女性が「更年期障害」が第1位、男性になると「耳鳴り」が第1位になってきます。ちなみに「疲れやすい」というのは、男女各年代で2位から3位以内に入っている共通のお悩みとして、もう10年以上40代では1位になっています。そういったデータになっているんですね。

各年代に共通する悩み「疲れやすい」の改善法

今井:「疲れやすい」という悩みは、男女、しかも各年代に共通しているということなんですけれども、こちらはなんだかもう対処法なんてないんじゃないかなって、私は思ってしまったりするんですけれども、漢方的な対処法っていうのはあるんですか?
 
鈴木:そうですね。「どうしても今日は頑張らなきゃいけない」っていうところで、ドリンク剤とかを飲んで、その場しのぎで頑張っている方はいらっしゃると思いますけれども、 「長年なかなか疲れが取れない」、「自分の体質を改善したい」っていう方が来るイメージがあります。当然、人によって、仕事環境とか生活環境は様々と思いますけれども、基本はバランス、生活のリズムを整えていくっていうのが、根本の養生になっていきますね。ですので、簡単に食べて動く時間、食べないで休む時間っていう部分をしっかりと守る。それこそ、1日は24時間ですから、12時間の食べて動く時間、12時間の食べないで休む時間っていうのを上手く仕事の環境、生活の環境に合わせながら、極力守るように意識するだけでもかなり体調が変わってくると思います。
 
今井:そこでも陽と陰のバランスが大事っていうことなんですね。
 
鈴木:はい。その通りなんです。陰陽バランスというのが、ここでも出てきて、やっぱり睡眠時間が少ないのに疲れを取りたいっていう、その手前の目線で、「まず生活を整えられるところは整えていきましょう」というだけでも、かなり疲れって変わってきたりとかするんですよね。
 
今井:確かによく疲れたっておっしゃっている方って、ずっと陽陽陽陽! GOGOGOGO! みたいな感じで、頑張りすぎちゃって、疲れているっておっしゃっているような感じはします。
 
鈴木:はい。そうなんですよ。なので、やっぱり陰の時間をすごく大切にするっていう心がけだけでも。肉体疲労、精神疲労、いろいろとありますから、もう本当に休む時間っていうのを大切にするといいと思いますよ。

30代女性・40代女性のあるある悩み改善法

今井:ありがとうございます。リスナーの皆さんもぜひ、疲れやすいっていう方は陽と陰のバランスを考えてみてはいかがでしょうか。そして30代女性は「不妊」、50代女性は「更年期障害」と、なんだか女性ならではの悩みだなと感じるんですけれども、こちらはいい養生法はありますか?
 
鈴木:どちらもホルモンバランスに関係しているお悩みになります。これは全世代に女性の場合はあるんですけれども、とくに「不妊」の場合ですね。「不妊」の場合は、漢方では血流対策、血行をいかに良くするかっていうのが重要になってきます。そのポイントが機能をしっかりと守るためには、冷え。体の冷えというのが一番ダメな部分なんです。冷えて血流が良くなることは全くないので、簡単にできる養生法は、まず腰回りは絶対冷やさない。特におへその真後ろ。おへその真後ろをまず温めることと、おへそから指二本分ぐらい下、“丹田”って言われるところですね。ここの両側をしっかりと冷やさないで、守ることっていうのがすごく大切になります。それをした上でよく“三首”って言われるんですけど、首周り、手首、足首、ここが冷えると血流がすごく悪くなっていきますので、もう不妊とは言わず、ホルモンバランスを整えたい女性のみなさん全てに言える部分は、この冷え対策というのがまずあります。夏でも冷房対策にそのままなりますので、ぜひ実践してほしいことになります。
また、更年期障害になってくると年齢を重ねたことによる潤い不足っていうのも1つの原因になってくるんですね。潤い不足っていう部分では、ただ水を飲めば潤いがプラスされるっていうわけでもなくて、漢方では“補陰”っていうことで、陰液ですね。体を支える体液を補うことがすごく大切になってきます。その簡単な対処法、例えばどういうものがいいかと言うと、クコの実、ナツメの実、松の実、ゴマの実、こういうのが非常に良いと言われています。ここに共通されるのが全部実です。なので、種とか実、ナッツでもいいです。そういうものをちょっと意識して食べるだけでも、そのまま体の潤い効果に変わるっていうふうに言われていますので、本当に簡単ですけども、そういうことから生活に取り入れてみてもいいかと思いますよ。
 
今井:ありがとうございます。今、自分で首、手首、足首を触ったら、足首が異様にエアコンで冷えていたので、温めなきゃなっていうのと、これからたくさん実を食べようと思いました。
 
鈴木:はい。ぜひ、やってみてください。

「耳鳴り」には黒い食材が効く

今井:そして、50代男性のお悩みの第1位が「耳鳴り」ということなんですけれども、すごく意外だなというふうに感じたんですけれども、これはどういうことでしょうか?
 
鈴木:そうですね。50代、60代以上になってくると10人に1人とか5人に1人は「耳鳴り」が鳴っているって言われる、老化現象の1つなんですけれども、お悩みの方の中では、鳴っていても「年だからね」っていう方と、「メンタルがやられるぐらい気になってしょうがない」っていう方に分かれていきます。漢方では、生命力と関連するのが五臓で言うと、“腎”っていう、腎臓の“腎”っていう漢字を使うものなんですけど、これが耳とつながっているっていうふうに考えています。年齢を重ねるとどんどん“腎”の機能が弱っていきますので、そこの弱っていく部分を下支えしてあげることで、アンチエイジングにもなるし、耳鳴り対策にもなっていくというふうに考えることができます。そこで簡単にできるお勧めってなると、“黒食材”。
 
今井:“黒食材”!?
 
鈴木:はい。黒! 黒い食材っていうのは、メンテナンスの食材って考えるといいと思います。体をきれいにする食材。体がきれいになればアンチエイジングになると捉えていただきますといいと思います。例えば黒ごま、黒酢、わかめ、ひじき、昆布、しいたけ、海苔。そういった黒い食材が体を支えて、メンタルの話にもつながるんだなということで、ちょっと食卓に意識して取り入れていただくっていうのも1つかなと思いますよ。
 
今井:ありがとうございます。黒いものもたくさん食べていこうと思います。
 
鈴木:はい。ぜひやってみてください。

人生100年時代の「養生訓」5つの原則

今井:では、ここで『わがまま養生訓』から養生の知恵をご紹介したいと思います。鈴木さん、養生のエッセンスをお教えください。
 
鈴木:はい。養生という部分では、シンプルな法則があります。まず、「気を消耗させない」ということ。そして、貝原益軒も繰り返し述べていることを5つの原則でまとめてみたいと思います。
まず、1番、「心を穏やかに整えること」。メンタルの整理はすごく大切になります。2番、「食は控えめにしていくこと」。食べ過ぎっていう部分で、やっぱり渋滞を起こしてしまうのが1番よくない。7分目、8分目って言うよりは、常に内臓機能に2割の隙間を与えてあげる。3割の隙間を与えてあげることで、すごく動きやすくなるっていうふうに捉えるといいと思います。そして、3番目は「昼はこまめに動いていること」。日中動くから、夜ぐっすり寝れる。夜ぐっすり眠れるから、日中動けるっていうことなので、なるたけ動くっていうのが基本。そして、4番は当たり前ですけど、「夜は休息する」。そして5番。これが大切なんです。環境をとにかく意識する。「環境に備える」っていうことなんです。
この、心、食事、運動、休養、環境。シンプルなんですが、この5つが実際できているかどうかっていう部分が非常に重要になっていきます。シンプルなこの生活サイクルを見直すと、無駄が省けて生活そのものがリセットできるっていうことも非常に多くなっていくと思うんですよ。
 
今井:ちょっとよくわからなかったのが、「環境に備える」っていうのが具体的にどんなことをしたらいいのかなっていうふうに思ったんですけど。
 
鈴木:これはですね、皆さんもう当たり前にしていると思うんですけど、毎朝、天気予報を見てると思います。
 
今井:はい。
 
鈴木:今日の気温は何度で、雨が降るかもしれない、暑すぎるかもしれない、寒すぎるかもしれない、風が吹くかもしれない。私たちは思っている以上に天気の影響をすごく受けています。そこを常に備えていくこと。例えば、冷房が効いた部屋に1日中いるということは、そこは冬ですよね。なので、そこのいる環境、生活環境、仕事環境の、その環境っていう部分を常に意識して、生活していくことが大切ですということになります。
 
今井:ありがとうございます。余りにも意識しなすぎて、全然気づきませんでした。
 
水原:四季に合わせて着るものを変えたりとか、家を整えたりとか、食事なども季節に合わせていくっていうのが、環境に備えるっていう意味では1つの要素かなって思います。
 
今井:ありがとうございます。私、今暑くて本当に24時間エアコンの効いた部屋の中にいて、外に一歩も出ないし、昼間も動かないっていうので、養生訓に反しているなと、我が身を省みていたんですけれども、ちょっとこの収録が終わったら散歩してきたいなと思っています。
 
鈴木:はい。ぜひ、夕方になってから散歩してください(笑)。

旬の食材を食べるのはなぜ体にいいのか?

今井:ありがとうございます。あと、「環境に備える」の話なんですけど、先ほど、水原さんの方から四季によって着るものを変えるなんていうお話もあったんですけれども、食べ物を変えていくっていうのもあったりしますもんね。
 
鈴木:そうですね。やっぱり旬のものっていうのは、うまくできているなと思いますけど、旬のものを常に食べるっていうのは、非常にいい養生になっています。夏は夏野菜を食べることで余計な熱を取って、水はけをよくするっていう部分にもなっていますし、秋になってくると潤いをつけて、エネルギーが補充できるような旬の食材というのが出てきますね。
 
今井:確かに冬の野菜は温まったりですとか、春の野菜は溜め込んだものを出すように、デトックスの苦味があったりとか、そんな話を聞いたことがあります。そんなことも身近ですけど、大事なことなんですね。
 
鈴木:そうですね。なので、漢方にしても薬膳にしても、元々薬食同源、薬と食事は元々一緒だよとか、薬食帰一っていうことで、原点は一緒だというふうに考えていきます。薬も食べ物も区別なくて、貝原益軒も「まず薬よりも食事を見直しなさい」「体調や時期に合わせて食べ物工夫するといいですよ」っていうふうに常に言っているような感じですね。

眼の疲れに効くスーパー食材とは?

今井:体にいいものって思っても、なかなか自分の好きなものばっかり食べてしまって難しいなあなんて思うんですけれども、選ぶ時のヒントっていうのはありますでしょうか?
 
鈴木:そうですね。養生の基本はですね、「これ取っちゃダメ」「あれ取っちゃダメ」って言うと、なんかつまんないじゃないですか。だから、「好きなものを食べていい」っていうのが基本で、ただ食べ過ぎるとダメだよっていうのが、まず基本にはなっていると思います。体調に合わせて使う食材とかもいろいろとありますけれども、それは『わがまま養生訓』にいろいろと書かせていただいておりますので、ぜひ、それを参考にしていただきたいと思うんですけれども、お勧めとして、身近に取り入れやすいものとして、お茶とか薬酒にしちゃうとすごく取り入れやすくなっていきます。
 
今井:薬酒!?
 
鈴木:薬酒にしちゃう。お酒につけちゃう。
 
今井:おー!!
 
鈴木:なんか難しそうな感じがしますよね?梅酒とかつくるのはいろいろな工程、作業があってってありますけど、すごく簡単なクコ酒っていうのをお伝えしたいと思います。クコの実って、聞いたことがあると思いますけれど。
 
今井:杏仁豆腐に乗っている赤い実の。
 
鈴木:そうそうそう。そうです。今、スーパーに行って、中華食材コーナーに行くと、クコの実って、もう売っているようになりましたので、結構身近な食材になっているかと思いますし、近年は「ゴジベリー」って言われて、スーパーフード扱いされているものなんですけれども、デスクワークが多かったり、スマホの画面を見たり、パソコン画面を見過ぎる、目の疲れ、これにとってもお勧めの食材がこのクコになっています。で、単純にマグカップにポンっと入れて、お湯を入れてもらって、蒸らせば、クコ茶になりますので、ちょっと目が疲れたなという時とか、あとホルモンバランスを整える働きもあるので、女性の皆さんは普段お茶で、クコ茶をつくっていただいてもいいと思いますし、お酒にすると考えたときには1番身近なのはコンビニに行って、小さい200mlぐらい入っている焼酎があるのわかりますかね?ボトルの。
 
今井:はい。鬼殺しみたいな感じですか?
 
鈴木:そうそうそう。小さいのね。25度の麦焼酎の安いのを買ってくるわけですよ。そこに買ってきたクコを20~30粒入れて、蓋をしたらできあがりです。それでもう仕込みは完了なので、そのまま置いていただいて、冷暗所って言って、あんまり直射日光が当たらないところに3週間ぐらい置いておいていただくと、それがクコ酒になりますので、おいしいですよ。実もそのまま食べていただいてもいいですし、お酒が弱い方は料理酒代わりにそれを使っていただいてもいいです。お湯割りにしてもいいですし、炭酸割りにしていただいても構いませんので、そういうふうに生活に取り入れていくっていうのは、非常に楽しく取り入れられる内容だと思います。
 
今井:ありがとうございます。おいしくて体にもよくて、最高なお話でした。ぜひ私、この後、お散歩行った時に麦焼酎を買ってきたいと思います。うちに杏仁豆腐づくりで大量に買ったクコの実だけが冷蔵庫に入っているので、どうしようかなってちょうど困っていたところだったので、もしリスナーの皆さんもこちらのクコ酒、デスクワークの方とかにお勧めということですので、つくっていただけたらなと思います。
では、最後に養生について、そして『わがまま養生訓』について、鈴木さんからラストメッセージをお願いいたします。
 
鈴木:はい。養生って聞くと、まず最初に受けるイメージっていうのは堅苦しいとか面倒くさいとか、制限がすごく多いのかなっていうふうに思う方が多いと思うんですけども、養生の根底にある基本は、とにかく楽しむこと。普段の生活をこうしなきゃダメ、ああしなきゃダメっていうんじゃなくて、普段やっているお茶をせっかくだからこれに変えようとか、普段やってるルーティンにちょっと工夫をすることっていうのを楽しみながらできるっていうのが養生だと思います。そのエッセンスがギュッと詰まったのが、この『わがまま養生訓』になっていますので、読めば読むほど貝原益軒が伝えて、300年続いている、おじいちゃんの知恵みたいなかたちで、なんか聞いたことがある、やっぱり大切だよなあっていう部分がどんどん入って、気持ちと生活がリセットされるような感じになるかと思いますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。そして、自分の健康っていうのは、やっぱり自分でつくるんだなって思っていただければとてもうれしいです。
 
今井:ありがとうございます。無理した『養生訓』じゃなくて、楽しむ。だから、わがままな『養生訓』ということなんですね?
 
鈴木:そうですね。
 
今井:ありがとうございます。今回ご紹介した鈴木さんの書籍、『わがまま養生訓』はこちらのページにリンクがありますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。本日は日本漢方養生学協会理事長の鈴木養平さんと、編集部の水原さんにお越しいただきました。本日もどうもありがとうございました。
 
鈴木・水原:ありがとうございました。
 
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)

 

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