【スモールビジネス】「買わないと損」「やらないと損」と思わせるテクニック
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
自社の商品やサービスに自信があるのに、なかなか実売につながらない――。そんなジレンマがあるとき、マーケティングの王道の1つに、緊急性、限定性を訴求するという手法がありますよね。多くの方が知っているマーケティング手法の1つですが、自分のビジネスに落とし込むとなると、具体的に何をどうすればいいのか、迷ってしまう人が少なからずいるようです。
自身で複数のジム経営をしながら、スモールビジネス専門集客コンサルタントとしても人気を博している日野原大輔さんは、新刊『神・リピート集客術』の中で、具体的にどのような順序で緊急性、限定性を訴求すればいいのかを提示しています。そこで今回は、同書の中から該当箇所を全文公開します。
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自分の商品・サービスの希少性は何か?
時には、あなたに価値があると思っている商品、サービスが売れないこともあるでしょう。売り手としては、とても寂しく、不安になるものです。
しかし、それはあなたが思っている価値がしっかりとお客さまに伝わっていないからかもしれません。
そんなときは、自分が提供する商品、サービスの希少性を探してみてください。
なぜなら、需要に対して供給が少なく、なかなか手に入らないものに人は価値を感じ、欲しくなる習性があるからです。
自分が思う商品のメリットを100個箇条書きにして、そこから「これはお客さまにとっても希少だ」と思うものをピックアップするのもおすすめです。
それを謳い文句にして店内POPに工夫を凝らしたり、直接語りかけたり、SNSなどで発信したりすることで、「限られているものはより価値が高く感じる」という顧客心理が働き、想像以上の効果を生むことができます。
希少性の種類
たとえば、私の趣味の1つに古着屋巡りがあります。特に軍物ヴィンテージには目がありません。家族には「緑色の同じズボンばかり買ってくる」と怒られますが、私にとっては一つひとつ違うものであり、希少なものです。軍物とは、それぞれの国が国家の威信をかけてつくった究極の作業着です。年代ごとに仕様が違い、一定期間を過ぎると生産は終了します。したがって、年代が古く、人気のあるものは市場に出てもすぐなくなってしまうのです。私の場合は、たまたま探していたものが自分のサイズで見つかれば、高くても買うことをその場で検討します。明日はすでに売り切れている可能性のほうが高いからです。
もし、あなたのお店がヴィンテージものを扱っている場合は、こうした衣類に限らず、生産された国、年代、もともとの生産数、製作者のストーリー、素材や仕様の特徴などを語るとともに、有名人の愛好者(権威付け)など、希少性を余すところなく述べてください。そして最後に、「今、市場にはこれしかありません」「人気が高いので、これを逃すと次はない可能性が高いです」と、言い切ることが大切です。
また、「1日50個限定」「お一人様1点限り」など、数量限定を大きく掲示し、「早く行かないと売り切れてしまう」という気持ちをあおるのも効果的です。食材には牛肉のシャトーブリアンに代表されるような希少部位というものも存在します。
こうした「数量の希少性」に「会員さま限定」といった要素を組み合わせると、より価値が高まるでしょう。
お寿司の握り方や縫製の仕方といった、職人技的な希少性を訴えることも必要ですが、それを伝える前に、お店の商品、サービスそのものの希少性を情報としてしっかり伝えることが大切です。先ほどの古着でも、情報を知らない人にとっては「ただの緑色のズボン」であることを忘れないでください。
私が大切にしているのは、時間の希少性と人の希少性です。
学生時代以来、運動したことがないという40代の女性が来店したら、私なら、女性の更年期の傾向についての情報をお話しします。「若いうちから定期的に運動してきた人ほど、更年期の症状は軽いことが研究・調査の結果わかっています」と伝え、身体のことを考えて、今日からでもトレーニングを継続して行なう必然性を強調します。
そう言われると、今日から運動を始めるのと、1年後から運動を始めるのとでは、更年期障害に対するリスクが違うことを認識できるので、心理的に「そうか、私にはあまり時間がないんだ。早く始めないとまずい」と思ってもらえるのです。
継続的に身体を動かしていない人ほど運動の価値を知らず、「運動なんていつでもできる」と思っている人が非常に多いのです。そういう方にサービスの価値を裏付ける情報をしっかり届け、選んでもらうことが重要です。
私はさらに人の希少性について、「トレーナーの予約が埋まっているので、お取りできるのは、この曜日(時間)しかありません」と、物理的な情報をお渡ししてアピールします。その結果、サービスだけでなく時間・人にも希少性が生まれることで、強力な希少性となるのです。
ここで大事なのは、ウソではないことです。
イメージ戦略ではなく、事実を言って、お客さまに希少性を理解してもらい、心からやる気になっていただくのです。先ほどのヴィンテージのズボンで言えば、レプリカを「本物」と言ってはいけません。
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いかがでしたか?
「新規客の獲得」コストは、「リピート客の確保」コストの5倍かかるといわれています。スモールビジネスの経営を安定させるのに必要なのは、100人の新規顧客より1人100回の予約――。
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