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アイデアに悩む私たちは世界を変えるクリエイター?
こんにちは。
フォレスト出版 編集部の美馬です。
早いもので入社2ヶ月目を迎え、先日、ついに編集部会議に1本企画を出させていただくことができました。初めての企画提出ということで、こてんぱんにダメ出しを受ける覚悟で臨みましたが……、弊社編集部のメンバーは、新人にもとにかくフェア! 前向きな意見が飛び交う建設的な会議となっています。
せっかくなので本日は、そんな企画を考える上で中核となる"アイデア"をテーマにお届けしていきます。
新人編集者の私がアイデアを生み出すスキルを磨くために熟読した書籍がこちら。
弊社刊行『アイデア大全 想像力とブレイクスルーを生み出す42のツール』(読書猿・著)です。
煮詰まった、ネタ切れ、思いつかない、パクりたい、変えられない、才能に自信がない、どうしたらいいかわからない……。
編集者に限らず、企画営業やクリエイター業、商品開発の分野で働くビジネスパーソンにとって、アイデアに関する悩みは付き物です。
本書は、科学技術、芸術、文学、哲学、心理療法、宗教、呪術など多くの分野を渉猟し、 新しい考えを生み出す42の技法をまとめていますので、自分に合った技法がきっと見つかるはずです!
実用書であり人文書でもある
いくつかの技法をお伝えする前に、まえがきの一部をご紹介します。
本書は実用書であると同時に人文書である
本書は〈新しい考え〉を生み出す方法を集めた道具箱であり、発想法と呼ばれるテクニックが人の知的営為の中でどんな位置を占めるかを示した案内書である。
このために、本書は実用書であると同時に人文書であることを目指している。
実用書は、まずもって読者のニーズに応えようとする書物であり、誰もが今すぐ実行できるノウハウ/提案でできている。
しかしアイデアを生み出す方法についての書物は、それだけでは足りないはずである。
なぜなら、誰でも今すぐ実行できることは、目の前のニーズに応えはするものの、読者や読者のニーズを包む状況を変えるには足りない。悪く言えば、状況追認のレベルに留まってしまう。
我々がアイデアを、新しい考えを必要とするのは、これまで通りではうまくいかない状況に直面しているからだ。したがって、これまでのやり方で考えていては、行き詰まりを脱することができない。
一方、人文書は人文学に属する種類の本であり、たとえば哲学・思想、宗教、心理、教育、社会、歴史のようなジャンルに属する書物の総称であると、一般には考えられている。
もう少し本質に遡って考えるならば、人文書とは、現にどうあるか/どうやればいいかに留まらず、本来はどうあるべきかまで書き出そうとする書物である。現状追認に抵抗する書物、世界の有り様についてオルタナティブを提示ししようする書物である。
たとえば哲学は当たり前を疑い、我々が知ることや考えることの前提を問い直す。歴史学は人々が忘れた過去を掘り起こし、かつての人々や社会の有り様を現在と突き合わせ、我々が歴史のどこにいてどちらへ進んでいるかを省みさせる。
これまでにない新しい考え(アイデア)を必要としている人は、できるのはわずかであったとしても現状を、大げさに言えば世界を変える必要に迫られている。そのために世界に対する自身のアプローチを変える必要にも直面している。
この場合、必要なのは、ただ〈どのようにすべきか〉についての手順だけでなく、そのやり方が〈どこに位置づけられ、何に向かっているのか〉を教える案内図であろう。
それゆえに本書は、発想法(アイデアを生む方法)のノウハウだけでなく、その底にある心理プロセスや、方法が生まれてきた歴史あるいは思想的背景にまで踏み込んでいる。
実用書なのに人文書? と首を傾げた方もいらっしゃるかと思いますが、先人たちの知恵や思想を使った創造力は確かなパワーを秘めています。
個人的に、私は哲学・思想の分野が好きなので、関連する部分は何度も読み返してしまいました(笑)。自分の興味がある分野から技法を学んでみるのもアリではないでしょうか。
発明家が実践「エジソン・ノート」
さて、前置きが長くなりました。
最初にご紹介するのは、皆さんご存知の発明王、トーマス・エジソンの「エジソン・ノート」です。
ダ・ヴィンチに影響を受けたエジソンが使っていたノートの技法で、アイデアを財産にして蓄積したいときや、過去のアイデアを再利用したいときに使えるノートです。
ノートの使い方はいたって簡単で、
①自分のアイデア、目にとまった他人のアイデアや気になった情報
など、なんでもノートに記録しておく。
②記録したノートを事あるごとに読み返し、気づいたことをさらに 書き加える。
③そうして得たアイデアが成功した場合も、失敗した場合も、ノートに記録しておく。
これだけです。
エジソンはこのノートを3500冊駆使し、1300の発明を生み出したといいます。ノートには自分のアイデアだけでなく、他者の論文や記事、自然や社会の出来事についての感想も書きつけ、別の分野でうまくいきそうなアイデアを考えるのに活用していたそうです。
アイデアを必要とする職業に就いている方なら、ひらめいたことを記録する習慣はついていることと思います。要するに、これを繰り返し活用し、さらにアイデアを吹き込み続けるには、エジソンのような量と執拗さ、再利用の度合いと生産性の高さが必要になってくるのではないでしょうか。
1人会議室? 「ディズニーの3つの部屋」
続いて、こちらも皆さんご存じのウォルト・ディズニー、ロバート・ディルツが開発した「ディズニーの3つの部屋」です。発想と具体化と評価の作業を切り分けることで、自己批判を封じ込め、発想の枠を取り外すことを目的にしている技法です。
①紙を1枚用意して、縦線を2本引いて3列に分ける。
②左の欄の一番上に「夢想家」、真ん中の欄の一番上に「実務家」、右の欄の一番上に「批評家」と書き、それぞれの欄ごとに以下の立場から意見を書いていく。
③ まず「夢想家」の欄から始める。
◎欲しいものは何か?
◎この場合解決は何なのか?
◎もし、魔法が使えたら、何をする? など。
④次に「実務家」の欄を書いていく。「夢想家」が出したアイデアに対して自問自答する。
◎このアイデアを実際どのように用いるか?
◎このアイデアを実行するタイムラインは?
◎実現するのに必要なものは何か? など。
⑤最後に「批評家」の欄を書いていく。『実務家』が出した実現可能なアイデアに対して自問自答する。
◎このアイデアのまずいところはどこか?
◎どんな失敗をしそうか?
◎この計画の弱点はどこか? など。
ディズニーはこの3者(夢想家・実務家・批評家)思考のために、わざわざ会議室を分けていたようです。「夢想家の間」ではひたすら空想が広げられ、突拍子もないアイデアが求められます。「実務家の間」では夢想を具体化・現実化することに力が注がれます。「批評家の間」では企画成功の可能性が徹底的に洗われます。
新しいものを生み出すには、これら3つの役割が必要不可欠で、ディズニーは3つの人格を持っていたとも言われています。会議室を分けることができない私たちは、この「ディズニーの3つの部屋」を紙上で切り分け、3つの自我常態を引っ張り出してみてもいいかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。
今回は本書に記載されている中でも、特に皆さんに馴染みのある人物の技法をピックアップしてみました。ご紹介できなかった技法はあと40あります。
自分にあった技法が必ず見つかるはずです。興味のある方は是非活用してみてください!