さらに読書の成功確率を上げるための3つの注目ポイント
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
本選びのコツについて、これまでにこのnoteにいくつかご紹介してきました。
さて、今回はさらに読書成功率を上げるためのポイントとして、これまでに4800冊超を読破し、Instagramでも人気の読書案内人として知られ、Voicyのパーソナリティもしている、人気の読書系インフルエンサーの「名もなき読書家」さんが普段から意識している、3つのポイントを紹介します。名もなき読書家さんの新刊『失敗しない読書術』の中から、その該当箇所を一部編集して全文公開します。
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読書の「成功確率」を上げるために、私が日頃から心がけていることを3つ紹介します。
①おもしろいと思った本の「編集者の名前」を覚えておく
ビジネス書や自己啓発書を読んだあとに、「すごくおもしろかった」「いろんなことを教えてもらえて勉強になった」と思えたら、その本を書いた〝著者の名前〞を覚える方は多いと思います。この人の考え方をもっと学びたいと、読んだ本が3冊目の著書だったら1冊目と2冊目もさかのぼって読んだり、それ以降の新刊を追うようになったり、いわゆる「著者買い」ですね。
私はいつも著者名を覚えるのと同時に、その本をつくった〝編集者の名前〞も覚えるようにしています。なぜなら、本は著者が一人だけの力で書くものではなくて、特にビジネス書や自己啓発書は編集者の意向が反映されることも多いからです。
「著者は8割まで頑張ればいい。あとの2割は編集者が頑張って売れる本にしてくれる」という言葉を聞いたことがあるのですが、自分がその本をおもしろいと思ったのは、編集者の2割の魔法の力が大きかったりします。
「キャッチーなタイトル」や「興味深い小見出し」は、編集者のワードセンスが秀逸な証。改行や空白行が適度に入っているのは、「読みやすさ」「見た目の快適さ」に気を配っているということです。
今は文字がギュウギュウに詰まっている本は敬遠されがちなので、少しでも多くの人に読んでもらいたいという思いが伝わってきます。これは本の内容以前に、とても重要なポイントですね。
本のデザイン的なことで言うと、私は「太字があまりにも多すぎる本」は読むのがストレスなので避けるようにしています。やたらと太字で強調するのが好きな編集者がいて、太字の量が多いだけでなく、太字の上からさらに蛍光ペンでマーカーを引いたような仕様になっている本があります。
いつも書店で見かけるたびに「どれだけ強調したいんだ!」「太字か蛍光ペン、せめてどっちかだけでいいのでは?」とツッコミたくなるのですが、編集者をチェックすると、毎回同じ人だったりします。読書の成功確率を上げるためには、「著者買い」ならぬ「編集者避け」も大事です。
ちなみに編集者の名前は、本の最後の方にある「奥付」という、著者名や発行年月日が記載されているページを見ればわかります。そこに載っている「編集担当」が編集者の名前です。奥付に書いていない場合は、あとがきに「◯◯出版の編集者の●●さんには大変お世話になりました」というような形で名前が出ていることもあります。
おもしろいと思った本は、ノンストレスで最後まで読み切れたということですから、その編集者のワードセンスやデザイン感覚と相性がいい証拠です。ぜひ名前をチェックしてみてください。最近はTwitter やInstagram を本名でやっている編集者もたくさんいます。これまでに担当した本の一覧や新刊情報も載っていますので、フォローしておくのもオススメです。
②読みやすいと感じた本の「翻訳者の名前」を覚えておく
海外のビジネス書や海外文学の読みやすさは、翻訳者の力量に大きく左右されます。私は翻訳本のあの独特の文体がどうも苦手で、長らく敬遠してきたのですが、自分の中で2022年を〝翻訳本強化イヤー〞と位置づけて、たくさん読んでみたところ、「読みやすい翻訳本もある」という当たり前のことに気がつきました。
たとえば、NIKE 創業者のフィル・ナイトさんの自伝『SHOE DOG』。これはNIKEが創業する前から株式上場をするまでの18年間が描かれているノンフィクションですが、日本語の違和感がまったくなく、夢中になって最後まで一気に読み切ることができました。
その後、『SHOE DOG』と同じ東洋経済新報社から出ている、『サードドア│精神的資産のふやし方』(アレックス・バナヤン)という本を読んでみたところ、これまたスムーズに読み進めることができて、大満足の読書タイムになりました。
この2冊をよく見てみると、両方とも翻訳者が大田黒奉之さんでした。読みやすかったのは、大田黒さんの翻訳の力量がすばらしかったからだということが判明し、私はこの翻訳者の方の名前を覚えて、これからも翻訳を担当された新刊を追っていこうと決めました。絶対に読みやすい(=当たり本である確率が高い)と、読む前にわかっているからです。
出版社で言うと、ビジネス書の翻訳本は「海と月社」が出している本は読みやすいものばかりです。『ある広告人の告白』(デイヴィッド・オグルヴィ)や『人を魅了する』(ガイ・カワサキ)、『自分で「始めた」女たち』(グレース・ボニー)など、いずれもまじめな文章の中にウィットやユーモアがほどよくちりばめられていて、言葉が上滑りせずによく馴染んでいました。
海外文学は、「新潮クレスト・ブックスに外れなし」です。新潮社の海外文学のレーベルですが、新潮クレスト・ブックスの本は、どれも装丁が美しくて〝ジャケ買い〞したくなるものばかり。書店で手に取って眺めてみるだけでも、ちょっと美意識が上がるような気がます。紙の手触りが最高な上に、字もちょうどいい大きさでデザイン的にもストレスがない。作品の内容以外にも、本当に細かいところまですごく気を使って、一冊一冊丁寧につくられているのがよくわかります。
このように、自分の中で〝書籍のクオリティ〞を信頼できる翻訳者や出版社を見つけると、「翻訳者買い」「出版社買い」をすることができます。これも読書の成功確率を上げるための有効な方法だと思います。
③タイトルに「自分ごととして感じられるキーワード」が入っている本を選ぶ
タイトルに「自分ごととして感じられるキーワード」が入っている本は、共感するフレーズが書いてあることが多いです。たとえば、私は左利きなのですが、『すごい左利き』(加藤俊徳)や『左利きあるある 右利きないない』(左来人)という本には、左利きならではエピソードがたくさん書かれていて、首が千切れるくらいうなずきながら読みました。
2022年の年間ベストセラーランキング・文庫部門の第1位に輝いた『三千円の使いかた』(原田ひ香)という小説がありますが、これはタイトルの金額が〝三千円〞だったのが良かったのだと思います。三千円なら財布に入っている人も多いでしょう。その使いかたがタイトルになっていると、「何か自分に参考になることが書いてあるかもしれない」と思いますよね。もしタイトルが『三億円の使いかた』だったら、リアリティがない金額なので、手に取る人は確実に減っていたのではないでしょうか。
これは逆に言うと、ベストセラーを狙うには、多くの人に自分ごとだと思ってもらえるようなタイトルをつけないといけない、ということでもあります。
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いかがでしたか?
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