【男と女】相手を束縛する人の深層心理とは?
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
男と女の関係で苦しめるものに、「嫉妬」の延長にある「束縛」というものがありますよね。束縛されたら、相手を嫌いになるし、逆に、相手を「束縛」してしまうことで、相手に嫌われたり、自分がさらに苦しくなったりしてしまったり……。束縛は、男女の関係をこじらせてしまう大きな原因の1つであることは間違いありません。
産業カウンセラーにして、人気心理カウンセラーの川村佳子さんは、束縛について、著書『嫉妬のお作法』の中で次のように語っています。
「誰とどこに行く」「何時に戻る」といった詳細な報告を義務付けたことがある。
異性と話しただけですぐ嫉妬され、どんな関係なのか迫られたことがある。
着る洋服や購入する物品すら、自分の思いどおりにならなかったことがある。
「誰にも取られたくない。自分だけを見つめていてほしい」
男女間における恋愛問題に、このような独占欲はつきものです。
このようなちょっとしたヤキモチは、男女の愛をさらに深めるスパイスになることもあります。
しかし、そんな相手を独占したいという欲が度を超すと、相手の自由を奪い、思いどおりにしようとする束縛行動へと発展させてしまいます。
――『嫉妬のお作法』より
「独占欲」の先に「束縛」行動があるですね。つまり、独占欲は、嫉妬心の火付け役といえるのかもしれません。
では、この独占欲はいったいどこから生まれてくるのでしょうか?
川村さんは、著書の中で次のような事例を紹介しています。
相談室を訪れた友子さん(仮名)は、とてもうなだれた様子でした。
「やってしまいました」という第一声で、彼女がとても追い込まれていることが手に取るようにわかりました。
友子さんには、健一さん(仮名)という恋人がいました。
健一さんは医師を志している医大生で、友子さんはそんな健一さんより5つ年上のOLでした。
友人の合コンで偶然出会い、付き合うようになった二人。
友子さんは心の中でこんなことを感じていました。
「こんな年上の私よりも、彼に似合う女性がいるのではないか」
なかなか自分に自信が持てず、いつも彼との関係に不安を感じていました。
そんなある日、「健一さんが同じ大学の女性だと思われる人と、カフェで勉強をしている姿を見かけた」という話が耳に入ってきました。
そして、健一さんがその女性と仲睦まじくしていたという話に、友子さんはすっかり心穏やかではなくなってしまいました。
健一さんに直接聞けば良かったのですが、友子さんはなかなか言い出せずにいました。それ以降、健一さんへの猜疑心(さいぎしん)は増していくばかりでした。
健一さんの携帯電話のメール音が鳴るたびに、「もしかしてあの女性?」という気持ちが膨らみます。健一さんと連絡が取れないと、もう気が気ではありません。
自分の思いどおりにならない健一さん。
私だけを見てほしいという独占欲は揺らぎ、ついに嫉妬行動に走ってしまったのです。
友子さんは彼の携帯電話を盗み見て、
「もう彼には二度と連絡をしないでください」
と関係のありそうな女性に片端からメールを送りました。
無断で彼の交友関係に踏み入ってしまったのです。
「他の女性のところへ行ってしまうのではないか」
そんな日頃からの猜疑心が行き過ぎた独占欲を生み、友子さんを嫉妬に狂わせてしまいました。
友子さんは、以前からとても猜疑心の強い女性でした。
それは、「私よりも彼に似合った女性が他にもいるのではないか」という劣等感が心の奥底にずっと存在していたからです。
「私は愛される資格があるのだろうか」
「恋人が違う人のところへ行ってしまうのではないか」
友子さんの恋愛パターンは、いつも猜疑心からの不安を伴うものでした。
「医師を志す健一さんとOLの私」
今回の恋愛も、彼と自分を比較しては、自分を蔑む毎日だったのです。
――『嫉妬のお作法』より
この相談を受けた川村さんは、心理カウンセラーとして、次のような見解を示しています。
嫉妬心に振り回される前に、彼を疑う猜疑心を少しポジティブな方向に転換することが大切です。
「彼の友人は、私にも大切な友人」とまでは思えなくても、「彼の交友関係」を尊重する。
「私は私で大丈夫」と自己肯定感を持つ。
そう持っていくために友子さんに必要なことは、自分の中にある劣等感と静かに向き合っていくことです。
独占欲は、嫉妬心の火付け役です。もし愛する人の自由を制限したくなったら、それは自分を大切にできていないサインです。
自分の胸の内にある劣等感に目を向けてみてください。パートナーとのより良い関係を築くためのヒントが隠されているはずです。
――『嫉妬のお作法』より
川村さんは、「相手を束縛したい」と思ってしまう根底には、「自分への愛」、つまり、「自分への愛の欠如」が大きく横たわっていると指摘しています。そして、分析心理学の創始として知られるカール・グスタフ・ユングの次の言葉を紹介しています。
嫉妬の中核には、愛の欠如がある。
――カール・グスタフ・ユング
著者の川村さんは、この「愛」には、2つの意味が含まれていると言います。それは、「相手への愛」と「自分への愛」です。
愛の欠如が、嫉妬心に火をつけ、束縛を生み出すことになる。心理系の書籍における頻出キーワードの1つ「自己肯定感」ともつながってきますよね。
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いかがでしたか?
産業カウンセラーの川村佳子さんの著書『嫉妬のお作法』では、
◎嫉妬する人の特徴、嫉妬される人の特徴
◎人の嫉妬から自分を守る方法
◎嫉妬したときの対処法
◎嫉妬をプラスに変える技術
などについて、具体的なカウンセリング事例を交えながらより詳しく解説していますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
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