気づけばもう20代になっていたな、と。
こんにちは。
フォレスト出版編集部の美馬です。
突飛なタイトルで恐縮ですが、
本日は20代の話にお付き合いいただければと思います。
と言うのも、先日読んだ1冊に影響を受け、
この1週間、20代という何とも言えない儚い時間について考えるようになったのです。
謎のベールに包まれたF氏
著者のF氏は2017年に突如として現れた作家さんで、デビュー作は『いつか別れる。でもそれは今日ではない。』2作目に『真夜中乙女戦争』、そして3作目が話題の『20代で得た知見』(KADOKAWA)。
わずか3作で累計75万部を突破し、『20代で得た知見』は発売前から重版が決定していたとのことです。さらに、『真夜中乙女戦争』は今年冬に映画化も決まっており、今注目されているホットな作家さんです。
また、10代・20代からの絶大な支持を受けているF氏は謎のベールに包まれている方で、3作目が刊行されるまで性別まで公開されていませんでした。そんなF氏が『20代で得た知見』で語った、20代の教訓とも言える言葉の数々は胸を熱くするものがあります。
本書のイメージを一言で、あえてアーティストに例えるなら……『きのこ帝国』になるでしょうか。ふとそう思いながら、楽曲を聴いて(雰囲気と形から入りたいタイプなので)読んでいると、まさか! 本書で『きのこ帝国』の文字が2度も登場したのです。ウソだと思うかもしれませんが、ホントの話ですよ!
『きのこ帝国』のようにふわふわとしていて、でもどこか芯の強さを感じる力強いパワーを持っている、そんな本です。
ぜひ皆さんも、『きのこ帝国』の楽曲を聴きながら、最後まで読んでみてくださいね。
※おすすめは「金木犀の夜」、アルバム「猫とアレルギー」です(笑)。
いつのまにか23歳になっていた
本題に入る前に、10代のころを思い出してみます。
20代そこそこで「老けたなあ」と口にしてしまったら、いろいろな人に怒られてしまいそうですが、365日、1年間の体感速度がどれだけはやくなったことでしょうか。
「1年なんてあっという間」
子どものころ不思議に思っていた大人の口癖を、今は乱用しています。
泥だらけになって遊んでいたころ。
1日に何枚もプリクラを撮っていたころ。
高校球児たちとグランドを駆け回っていたころ。
制服のスカート丈を誤魔化してピアスを開け始めたころ。
やや、やさぐれていた時期もありましたが、生きるパワーに満ちあふれていた10代のころに比べて、今日どんなにつまらない毎日を送っていることか。
とは言うものの、実はまだ20代になったという実感が湧いていないのも事実で、心は完全に10代に置いてけぼりなのです。
18歳で看護科のある大学に入学して、その延長線上に身を置いた社会人1年目を看護師として迎えました。「いつまでも看護学生の実習気分で社会人になった気がしない」と口にしたのを先輩に聞かれて怒られたのを覚えています(笑)。
さて、そんな心はまだヨチヨチの社会人1年目の教訓としてF氏はこう語っています。
「チロルチョコの法則」から、2017年に話題となった元TBSアナウンサー宇垣美里さんの「マイメロ論」を思い出した方も多いのではないでしょうか。降りかかってくる災難やどうしようもない理不尽の逃避術として、
と、心の中で考えるようにするメンタル安定テクニックです。看護師時代によく実践していました……。ほかにも「コジコジはコジコジだよ~」とか、「盗みや殺しやサギなんかしてないよ。遊んで食べて寝てるだけだよ、なんで悪いの?」とか、理不尽に怒られているとき、頭の中ではマイメロやコジコジの言葉をいつも考えていました。
それから、相手の目を見て、眉間にしわを寄せておいて「私いま、すごく反省してます。考えてます!」というアピールをしておけば、もう完璧に無傷でやり過ごせてしまいます。
先輩方、その節はごめんなさい。
そんな私も今年で社会人2年目。いつまでもマイメロとコジコジに頼っていられないので、今年からはチロルチョコをポケットに潜ませようと思います。
20代、仕事とどう向き合う
F氏の作家という職業柄からでしょうか。本書で取り上げられている仕事論は、かなり編集者に刺さるものが多く、23歳、社会人2年目、編集者1年目の胸に響いた言葉を紹介します。
仕事をするには、誰かを罵倒できるくらいの度胸がいります。そして、それなりに自惚れる図太さもいると、つねづね思います。特に、何が正解かわからない仕事をしているときはもう、度胸と自惚れと図太さのマインドでやるしかないのです。
F氏の言葉を少しお借りすると、世間で言う「才能」は、仕事に対する興味と愛、市場感覚、欠落感と正直さ、度胸、行動力、そして多少の運が掛け合わさってできたものではないか、と。そしてこれに意地が掛け合わされば「仕事」になるとのこと。
以前、編集者は「才能」がすべてだ、と言われたことがあります。才能はセンスや感性などとは違って、磨くことはできない。けれど才能がなければ編集者は成り立たない、とも言われました。
才能がないわたしは毎日胃がキリキリするばかりです。正直、自分の才能のなさに嫌気がさすくらいですが、20代なんて嫌なことは寝たら忘れるものです。
丁寧に、クールに、落ち着いて今は続けていくしかないのです。
猫を飼おう!
20代でやってよかったこと第1位は「猫を飼うこと」とF氏は綴っています。
これには、ただただ共感の一言に尽きます。
私も昨年12月にシャム猫を飼い始めた新米飼い主ですが、一時流行った脳内円グラフをつくるとしたら、8割は愛猫で占めていることでしょう。仕事に息詰まると愛猫の写真フォルダを意味もなく眺め猫チャージをするほどです。
猫も猫で実にイヤらしい生き物で、帰宅すると「お疲れ様」と言わんばかりに擦り寄って1分間の抱っこタイムをくれるのですが、それが終わると爪を剥き立て、肉をかみちぎる勢いで腕やら足やらをかんできます(シャム猫あるあるのようです)。でもそれでもやっぱりかわいい!
そしてF氏はこう続けます。
20代。
多くの人が、田舎を出て一人暮らしをしていることでしょう。「誰かと一緒に暮らすこと」がどれだけ温かく、尊いものか思い知らされるのも20代でできる経験だと思います。それが家族であれ、友人であれ、見ず知らずの人であれ、猫であれ、誰かと同じ屋根の下で暮らす経験を20代から、また始めるのです。
F氏がこの感情を言語化したくないとわざわざ伝えてくれているので、私も多くは語らないことにします。
猫を飼おう!
最後までお読みいただきありがとうございました。