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嫉妬心は、「正義感」の裏に隠れているときがある

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

正義感は、まわりから評価が高く、好感を得やすい感情の1つです。正義感に似た言葉として、モラルやマナー、倫理観や道徳観などがありますよね。それに基づいて生きる。実にストイックな人と思われるかもしれません。この感情自体には善し悪しはなく、人間なら誰もが持っているものです。

ただ、その正義感が強すぎると、まわりの人間関係や社会に軋轢を生みだすといわれています。自分の正義(正しいと思っていること)を人に押し付けるレベルになると厄介なものになるわけです。近年よく耳にする「〇〇警察」なんていうのもその一つかもしれません。

正義感――。精神科医の第一人者・大野裕氏に師事し、現在、産業カウンセラーとして活躍されている川村佳子さんによると、強い正義感の裏にもう1つの感情が隠れている場合があるといいます。

それは、「嫉妬心」です。

正義感と嫉妬心――。一見、すぐに結びつかないように思えてきますが、川村さんは、著書『嫉妬のお作法』で事例を交えながら詳しく解説しています。

同僚の新しいやり方を許せない人

ここで、あなたに質問です。

あなたのまわりには、ちょっとしたミスや適当さを許さない責任感の強い人はいますか?または、社会的な悪事はもちろん、ごまかしやズルさを徹底して咎(とが)める非常に正義感の強い人はいるでしょうか?

冴木さん(仮名)は、そんな男性でした。

私の相談室を訪れたときのことです。冴木さんは何かにとても怒りを感じているようで、とにかく話し出したら止まらない。そんな印象でした。聞くと、同僚が前代未聞なやり方で自分よりも業績を上げていることに納得がいかないとのこと。

「『営業マンとは、こういうものだ』という業界のルールみたいなものがあるんですよ。それなのに、彼は相当型破りなことをやっている。あれは、世間一般に見ても受け入れられないと思うんです」

「しかも、そんなやり方で業績を伸ばしているなんて、ちょっと裏で何かやっているとしか思えないんですよね、常識的に。やはり型破りは業界のルール違反だって反感買いますよ」

冴木さんの話は止まりません。

特徴的なのは、「自分」を主語にせずに、「世間一般」や「常識」といったように、あくまで世間の意見だと言っていることにあります。本人はそれを正論だと思い、自分がいかに常識人なのかという主張を繰り広げます。私は、冴木さんに、嫉妬心が根底にあることに気づきました。

「俺も本当はもっと自由になりたい」
「新しいことにチャレンジしたい」

正論や正義を振りかざし、人を正そうとしすぎる人は嫉妬心が根底にあることに、自分ではまったく気づいていません。間違いや失敗を何よりも恐れ、自分に自信がないため、世間の常識を楯にするしか方法がないのです。

正論や正義を振りかざしすぎる人のまわりには、必ず標的になる人がいます。契約社員を馬鹿にしたり、事務職員を蔑(さげす)んだり。そんな標的を毎度見つけては間違っていると咎める。

その振りかざしは、自由に生きられない苦しさと、嫉妬ゆえの行動といえます。正論や正義を振りかざさなくても、自分の率直な意見なんだと話せるようになれることが、自分を信頼することにつながります。

自分に制限をかけているものが嫉妬になる!?

ふだん自分に「制限」をかけ、我慢していることはありませんか?
自分の行動を「制限」して、自分を責めていませんか?

これはやってはいけない。するべきではない。我慢しなければならない。もしかしたら、この「すべき思考」が、あなたを苦しめているかもしれません。嫉妬と上手に付き合う上で、この「制限」という言葉はとても大切なキーワードです。

たとえば、今までこんな気持ちになったことはありませんか?

「自分は子育てがあるから旅行は我慢すべき。でも、あの人はいつも旅行に行っていて、うらやましい」

「私は誰の力も借りずに頑張らなければならない。でも、あの人は上手に甘えて、いつもまわりから助けてもらっている」

「僕は、頑張っても頑張っても成果が出ないのに、あの人はなんの努力もせずに幸せそう。何でも自分ですべきだ」

「自分は仕事に対して厳しく、後輩にも指導してきたのに、自分より後輩のほうがちやほやされている。このようにすべきではなかった」

このように、

「本当はそうしたいと思っているのにすべきではないと抑えている感情や我慢していること」
「本当は私もそうしたい、そうなりたい。でも、やってはいけない」

といったふだん自分で制限していることが、嫉妬のきっかけになる場合があります。もし自分の行動を自分で制限せず、自由に行動できていたとしたら、他人に嫉妬することはありません。私たちは、「本当は自分がそうしたいと思っているのにできないこと、自分で制限していることを自由に行なっている相手」が現れたとき、嫉妬してしまうのです。

ここで最も重要なのが、嫉妬相手が本当に「自由に行なっている」かどうかです。

自由に行なっているのではなく、「自由に行なっているように見えている」だけかもしれません。嫉妬心に心が支配されてしまっているとき、私たちは考え方が極端に狭くなり、偏ってしまいがちです。嫉妬心で燃え上がり、物事を勝手に思い込まず、「実際はどうなのか?」という事実を知ろうとする気持ちが大切です。

いかがでしたか?

自分の心の奥では「やりたいのに、制限をかけてしまっていること」を実践している人に対して生じる嫉妬心。仕事やプライベート、あらゆるケースで起こりうることかもしれませんんね。

そんな私たちの身近にある感情「嫉妬心」。川村さんの著書『嫉妬のお作法』では、

◎第1章 嫉妬の正体
◎第2章 嫉妬する人、される人
◎第3章 男の嫉妬、女の嫉妬
◎第4章 人の嫉妬から自分を守る方法
◎第5章 嫉妬したときの対処法
◎第6章 嫉妬をプラスに変える技術

という構成で、嫉妬という感情との正しい付き合い方を解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。

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