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銀河鉄道の夜の木彫り

「あ、あすこ石炭袋だよ。そらの孔だよ。」

「銀河鉄道の夜」宮沢賢治

カンパネルラとジョバンニは、いろいろな駅で様々な人と出会い、しかし、最後は大きな闇でカンパネルラが消えて残されてしまうジョバンニ。


銀河鉄道の夜を表現するなら、「立体的な表現がしたい」となんとなく思っていました。


2年ほど前に小刀一本で丸い球体が作れるか試し彫りしたものがちょうどあったので、それを少しだけ削り使うことにしました。

なので、今回はどちらかというと絵画近いかもしれません。

「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」
「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」カムパネルラは俄にわかに窓の遠くに見えるきれいな野原を指して叫さけびました。

「銀河鉄道の夜」宮沢賢治


ジョバンニはこのあと、カンパネルラのお母さんも綺麗な野原もぼんやり白くけむるばかりで結局見ることができなかったんですよね。

そして、カンパネルラが急にいなくなり、誰にも聞こえないように力いっぱい激しく胸をうって叫びそれからいっぱい泣いたんですよね。


ここのシーンは賢治さんのエピソードだと知ったのは大人になってからですが、
誰にも聞こえないように叫び泣くという表現は今読み返してみるとグッと来るものがあります。


この作品に出てくる「ほんとうのさいわい」という言葉。


ほんとうのさいわいって、
一体何なんでしょうかね。


何をしていけばいいんでしょうか。



私はうつ病発症以来、そういうことをよく考えるようになって、

発症以前の自分なら誤魔化したり忙しさで流したりできましたが、今は誤魔化しも効かず答えのない不安により一層苦しくてつらいときがあります。


多種多様な苦しみはもともとこの世界にあって、

その苦しみに気づき葛藤することには意味がある


ととりあえず今はそれを信じて生きていこうと自分に言い聞かせています。






寒暖差の激しい季節。

秋はしっかりと、念入りに、どうぞご自愛ください


心穏やかな日常が訪れますように🍀

銀河鉄道の夜