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■糸偏の仕事は次の季節を織っている・・・

・近年は夏の素材にリネン(亜麻)の人気が集中しています。綿織物の以前から人が衣類として着ていた最古の繊維で高温多湿の日本の夏には最適だと思います。特に寒い地方で栽培されていました。

吸水性・水分の発散・着心地の良さまた洗濯に強いとすぐれた特質を持っています。ピンとアイロンの利いた白のリネンも素敵ですが亜麻の自然な色と素材を生かしたゆったりとした着こなしも人気があります。白い長そでのブラウスを暑い日に着ていると背中に風が通り爽やかです。

・糸には双子と単糸があります。文字の通り二本を撚り合わせたものと一本のみの糸で、もちろん撚りあわせた糸は丈夫ですがわたしはいかにも擦り切れそうな単糸を使って織ることにスリルを感じます。

織り上がりも木綿のガーゼを連想するとわかり易いのですが一本で独立するより他の糸と撚り合わせたいようなフワフワ感が好いのです。

上の画像はその単糸にひと手間かけて機に掛け織り始めたところです。

糸が決まって染色~糸巻き~整経~経糸巻~糸通し~製織となかなか辛気臭く感じますが、その過程を経ることが「織る」ことをより楽しくしてくれます。

・人は時間を惜しむように急ぎますが、ある時電車に急ぎ飛び込むことを止めました。急いで急いで・・・を止めると何をしたいのか何故急ぐのかはっきりしてきました。

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・織り上がりはストールです。二重織 doubleweaveという技法です。織物の本を見ると組織図が載っています。道具があって、その通りに間違いなく織ると確かに美しい織物 (テキスタイル)は出来ます。しかし、自分の織物にするにはさらに時間が必要でした。

魅了的な織物は確かに一度手にすると手放したくない・・・オリジナル性を求めるのはどの世界でも同じことですが私の場合は糸でした。

「ガラス」のように素材自体が美しいモノ「土」や「木」「金属」等人それぞれその方に合った素材に出会えて恵まれることが幸せかと・・・思っています。

・リネンの話に戻すとリネン・シルク・ウールを交織するとそれぞれの繊維の利点、リネンの強さ・ウールの暖かさ・シルクの艶やシワ予防を合わせ持ったオリジナルな繊維が生まれるかもしれない・・・”楽しみ”

組織にも何度もトライして新しく考えるのも・・・”楽しみ”

布を織るは料理にも似ています。私の場合は機と共に豊かな人生を持てました。



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