【アカデミックなカスタード研究】 粉くささを飛ばすとは一体なんなのか?
一般的にパティシエを目指したり、料理人でもアシェットデセールを作る際にカスタードを炊く(クレームパティシエールを作る)と言う工程はどんな若手料理人でも経験する仕事ですし、基礎の基礎であるからこそ、中堅やそれ以上のポジションになっても、その人物が過去どのような教育や仕事をしてきたのかが1度でわかる大事な技法となっています。
多くの若手がカスタードを焚くときには強火で沸騰した状態で鍋底に焦げつかないように一生懸命に混ぜ続けていると粉臭さがなくなる。といった説明を先輩から受けますが、私の経験上、教えられる立場の私も教える立場の私もそうでしたが、何度でどのくらい加熱すると、どういうメカニズムで粉臭さ(この言葉自体の意味)がなくなるのかを説明された事は少ないと思いますし、そもそも説明している人も見たことがありません。
今回はこの点について深く追求してみたいと思います。
また、この記事には、カスタードそのもののレシピは書いていません。カスタードのレシピなんて調べればどこにでも落ちてるので、それを参考にしていただければと思います。
澱粉の糊化
カスタードを作る際に「沸騰してからしっかりと混ぜ続けることで粉臭さが飛ぶ」と言われるのは、科学的にも納得できる現象です。
この「粉臭さ」とは、主にカスタードの材料である小麦粉やコーンスターチなどの粉が持つ特有の未加熱の匂いを指します。
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働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。