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SNSが変えてきた飲食店のスポットライトの当て方

私たち料理人は来て下さるお客様に自分の最高の料理を提供し、同時に落ち着いた過ごしやすい時間も提供し、報酬としてお代を頂く。

10数年前、日本ではFacebookもInstagramも有名ではなかった時代

レストランの良さは実際に訪れた人の口コミとして様々な人に伝えられ、噂が噂を呼び有名店になるというメカニズムだった。

当時の口コミはおいしい料理や素晴らしいサービスの紹介はもちろんのこと、目についた悪い点やマイナスポイントも同時に発信され

いわば公平を期すようなジャッジが行われていたかと思う。

良い点が悪い点を上回る。もしくは悪い点自体がそもそもない、といった状況がその店の評価を形成し、言葉を媒体として世間に伝わる。

当時の評価は「実際に食べてみる」というアナログな方法しかなく、食事に高額を支払えない人はそもそもその土俵に立てない環境だったと思う。

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しかし、現在はSNSの登場とそれらの生活のインフラ化によってその評価基準は大きく変わった。

まず一つ目に味とビジュアルの分離

SNS台頭前は言葉による伝達が基本だったので、食事の味と店内の雰囲気や食事の盛り付け(これらをビジュアル)が一緒くたになって話し手が伝えていた。

会話シーンで「食事の味」と「店内のビジュアル」を明確に分けて話す人も多くないし、話しているうちにこれら二つが相互作用し一つのストーリーとして受け手には伝わる。

しかしInstagramの登場により、画像をメインに情報を伝えること人ってからは、女性を中心に映えがメインとなる伝達方法に変わった。

画像からの情報発信の大きな特徴である視覚野の把握。本来食事とは料理を体内に摂取して初めて完成する行為なのに、料理を芸術のカテゴリーに分類することでの美しさの表現。

これにより「味の好み」の個人差よりも「美しさ」の個人差のほうが世間的には隔たりが少なく、共通言語も要らないので圧倒的な速さで料理を画像を媒体とする発信方法が世間に広まった。

また、SNSの広がりは知らない人でも「フォロー」さえしてしまえば遠く離れた場所の料理情報も簡単に手に入るという手軽さにもある。

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私自身もInstgaram(@chef_note_)をやっているが、訪れたレストランやカフェの情報で「まずかった」という投稿はまぁ見たことがない。

世界中から自分にアクセスできる時代だからSNS上には批評家と呼ばれるジャッジの厳しい人はあまり存在せず、基本的にはよい内容の投稿しか上げない。

また投稿者のあげる映えな写真を通じて、それをみた読者も行ってみたいと考える連鎖を生む。

SNSの登場により、飲食店の評価基準はかなり緩いものになった一方で、「まずい評判」がなくなった一方、そもそも評判にも上がらない飲食店は目につけてももらえない、また「良い」か「とても良い」の判断基準しかネット上には存在せず、食事のおいしさや見た目以上の付加価値をどう飲食店がこれからつけていけるのかがとても重要な世の中になっている。

SNSが登場してくる前の厳しいジャッジではあるが公平な世の中に変わって、SNSが登場してきた世界は「悪い」と「良い」の判断基準がかなり曖昧になり、そもそも悪い判断はネット上には載せられずかなり闇の深い評価になったと思う。

これから私たち料理人はおいしいものを追求すると言う行為だけでは消費者にはすぐに飽きられるので、

味の追求や見た目の重要さ以上の

第3のカテゴリーを創造する必要があると思う。

SNSが生み出した飲食店の評価と言うものは、これからの評価基準を大きく変え全く新しい視点から飲食店を判断すると言う斬新な切り口を世間に刻んだ。

僕ら料理人はそれに対して自分がどうそこに対応できるのかを今までの生活を続けるのではなく積極的に考えていかなければいけない。

2020/2/4

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料理人のキムラ
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。