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お粥はこれから【存在感】を変えていく。

私はフランス料理のコースをやっていたお店の内容を次からスープを主体にしたコースを提供する状態へと変化させようと現在頑張っています。

主役となれるスープを提供するにあたって、そのサイドにはリ・ピラフ(バターライス)やフレンチ料理人が作るお粥と言ったものを添えたいと考えています。今回はそのお粥について考えてみたいと思います。

スープ専門店へと形態変化を進める中で、私は「お粥」という存在の令和の現在実は社会的に重要なポジションにある料理なのではないかと考えました。

日本では、お粥は病気の時に食べるという印象が強い一方、スープストック東京さんなどのスープ専門店ではフリーズドライなどの形でお粥を提供している例も少なくありません。

お粥は消化が良く胃に負担をかけないことから、病院食としての経歴を持っています。

しかし、私はお粥を単なる病院食ではなく、もっと日常的に食べたいと思われる健康的な一品として進化させる可能性に注目しています。


お粥というと、日本では病気のときに食べるものという印象が強いのは否めません。

特に男性には、日常的に食べるものとしてあまり選ばれない傾向が見受けられますが、
今後はお粥が、健康的で食べやすい食事として、さらに評価されていく時代が来ると考えています。

お粥に対して「味が薄くて美味しくない」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

その原因は、お米自体の旨味が十分に引き出されていないことにあると考えられます。

お米の旨味は、実は他の食材の旨味と掛け合わせることで、格段に美味しさが引き立つものです。例えば、ホテルの朝食で提供される和だしのお粥は、だしとお米が絶妙に融合して非常に美味しく感じられます。

家庭で作られるお粥の場合、どうしても水で希釈されてしまうことが多く、その結果、旨味が薄れてしまうことが課題です。
基本的に料理の世界では、うまみの掛け合わせは足し算ではありません。異なる2つの旨味を足すことによって、1 +1が3にも4にも変化します。料理の世界では、うまみの掛け合わせは足し算ではありません。異なる2つの旨味を足すことによって、1 +1が3人も4人も変化します。

逆に言うと、その旨味は掛け合わせないと相乗効果が得られないと言うデメリットもあるため、単体のお米が持っている旨味を水で炊き伸ばしてしまうと、単純に旨味を希釈しているような状態になってしまいます。

多くの日本人がお粥を病気の時に食べるものだと感じている。理由はおそらくそこにあると私は思っています。

最近、私はトマトやチーズ、かつお昆布、フランスのブイヨンやフォンドヴォーといった様々な旨味を掛け合わせることで、お粥をより現代的な食事として再発見しようと試みています。お粥が病院食から、日常の食事として楽しめる一品に変わる可能性を秘めていると感じています。

お粥といえばアジアの文化に深く根付いた食事であるという側面も見逃せません。アジアでは、お米を主食として食べる文化があるため、お粥が発展しました。一方で、フランスやヨーロッパではお米は野菜として扱われることが多く、サラダやデザートの素材として使われることが一般的です。お米が主食ではない文化圏において、お粥をどう取り入れていくかは一つの挑戦です。

私は、フランス料理の技法を用いてお粥を作る際に、特にフォンドヴォーやブイヨンの旨味が澱粉質であるお米と合うのかを慎重に考えました。結果として、お米の旨味成分は、和だしとの相性が良いだけでなく、フランス料理で用いられる出汁ともよく合うことが分かりました。しかし、澱粉質が溶け出すことで、ブイヨンやフォンドボウのクリアな旨味が少し濁ることが課題として残りました。

料理においては「とりあえずやってみる」ことも大事ですが、結果を踏まえてなぜそうなったのかを考察することが、より良い料理を生み出すためには重要だと感じています。お粥がアジアの伝統的な食事でありながら、西洋の技法とも組み合わせられる可能性があることは、料理人として非常に面白いテーマです。これからもその可能性を追求し、現代に合った新しいお粥のスタイルを提案していきたいと考えています。

以上がかなり初歩的だけど、最初過ぎて意外と教えてもらってなかったり、忘れたりしているつくる工程のメカニズムです。

作る工程の【なぜ】が分かると、それをするのかしないのか。いつやればいいのかが理論的に考えることができます。お菓子や料理の科学はこれからも下記でまとめていきます。よろ。

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料理人のキムラ
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。