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カウンセリングアプローチ その1

こんにちは!
オンラインカウンセリングプラットフォームのFlying Rootsです。

以前の投稿で、カウンセリングにもいろんな種類があります、
と書きましたが、
今回はその第1弾として、数ある中で3つ
「認知行動療法(CBT)」
「精神分析」
「EMDR」
についてご紹介したいと思います!


はじめに

カウンセリングのいろんな方法をご紹介する前に、
1つお伝えしたいとっても大事なことがあります。

どの方法にも、優劣はありません。

あるのは、クライエントさんや相談内容との「合う・合わない」です。

また全てのアプローチに熟練しているというカウンセラーは、
いたとしてもごくわずかです。

多くのカウンセラーが自分の得意とするアプローチを複数持っており、
その中でクライエントさんの性質や、
お話しされた相談内容に合わせて
そのうち1つの方法を使ったり、または複数の方法を組み合わせたりして、
ご相談内容にあった方法を考えます。

長くお困り事に悩まれている方や、
本などでカウンセリングについて前知識を得られている方などの中には、
たまに、「◯◯療法をやってください」と希望される方もいます。
希望通りにその方法を実施することもあれば、
何か合わない理由があったり、より合う別の方法があったりする場合は、
それをお伝えした上で提案をさせていただくこともあります。

ですので、カウンセリングを受けられる場合は
ぜひオープンマインドで、
希望があればそれもカウンセラーに伝えつつ、
困っていることについてご相談していただけたらと思います。

認知行動療法:
Cognitive Behavioral Therapy (CBT)

さて、まずご紹介する最初の方法は
認知行動療法、またはCBTと呼ばれる療法です。

歴史としては1960年にアーロン・ベック(Aaron Beck)という
アメリカ人精神科医によって開発された療法ですが、
日本では2010年4月から診療報酬改定によって、
保険点数化されたことから広く知られるようになりました。
一般的には、うつ病や不安障害などとの相性が良いことが
研究で示されています。

CBTでは、心理的な問題は不適切な思考や行動パターンによって
引き起こされると捉えますので、
自分の思考を観察し、問題となる思考と行動パターンを変えることで、
困り事を解消することを目指します。

CBTと相性が良いのは、とにかく困り事の原因がはっきりしている人、
そして1つ、または複数でも2つ、3つ程度であるケースが多いでしょうか。
かなり論理的に問題と向き合うので、物事を理路整然と考えるタイプに
より向いているかもしれませんね。

精神分析または精神分析的心理療法:
Psychoanalysis or
Psychoanalytic Psychotherapy

精神分析、という言葉を聞いたことがある人も
少なくないのではないのでしょうか?
こちらはジークムント・フロイト(Sigmund Freud)という
オーストリア人精神科医が、1890年代に開発した療法です。

フロイトは、人の心(mind)を「エス(イド)」「自我」「超自我」の
3つの機能から成り立つ心的装置と考えました。
同時に、心は「意識」「前意識」「無意識」の3つの層に分かれると考え、
人の心が「意識」として現れ、認識できている部分は、
氷山の一角のように全体のごく一部であると結論づけたのです。
そして、無意識の層の中でその3つの機能のバランスが崩れると、
心身の問題が生じると考えたのでした。

無意識の中で起きている葛藤が、日々の生活の問題の原因になる
というのは今ではかなり受け入れられており、
カウンセリングの場面以外でも一般的に言われたりすることもありますが、
実はその起源はフロイトの理論にあったのです。

その理論に基づく精神分析というのは何をするかというと、
クライエントさんの頭の中に浮かんだことを
そのまま自由に話してもらう「自由連想法」という手法を通じて、
無意識の中に眠っているもの隠れているものを外に出します。

さて、精神分析と精神分析的心理療法は何が違うか、というと、
厳密にはカウンセリングの構造設定が異なります。
伝統的な精神分析というのは、週4回などほぼ毎日という頻度で
精神分析家とセッションを行います。
現代ではそのような設定でセッションを行うことは現実的に困難なので、
今の時代の生活スタイルやスケジュールに合わせた精神分析的な方法を、
精神分析的心理療法と呼びます。

眼球運動による脱感作と再処理法:
Eye Movement Desensitization and Reprocessing (EMDR)

EMDRはCBTよりももっと新しい療法で、
1980年代にフランシーン・シャピロ(Francine Shapiro)という
アメリカ人心理学者によって開発されました。

この療法・・・・日本語で読んでも、
何をするのか全くイメージが浮かばないのではないでしょうか・・・?
EMDRは、もともとPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療法として
確立されました。

基本となる考え方としては、
心の不調の多くがトラウマ的な、または嫌な思いをした人生体験が
体の中に不適切に残ってしまったために起こる、という
適応的情報処理(Adaptive Information Processing:API)モデル
則ります。
そして眼球運動など両側性刺激がその体の中に残った嫌な体験を、
適切に処理するのを手助けしてしてくれると考えられています。

眼球運動って?と思われる方もいると思いますが、これはその名の通り、
両目を右から左、左から右へと、左右に動かすことです。
実際のセッションでは、眼球運動だけではなく、
左右の耳で交互に音を聞いてもらったり、
手の甲を左右に軽くタッピングをしたり、
クライエントさんにとって不快感のない方法を探してカスタマイズしながら実践します。

文字で読むと奇妙に聞こえるかもしれませんが、
実はEMDRに似たことを日常的にみんながしています。
それは、実は睡眠。
レム睡眠というのを聞いたことはありませんか?
このレムというのは、REM、すなわちRapid Eye Movementの略語で、
眼球が激しく動く睡眠のことを指します。
このとき体では何が起こっているかというと、
脳以外は眠っているけれど、脳だけが起きて働いていて、
その日あった出来事など記憶の整理などをしているんですね。

そのため、EMDRは人間にもともと備わっている自己治癒能力を活用し、
その脳の中のプロセスを手助けする方法、とも言えるかもしれません。
現在では、うつ病や不安障害などの他の精神科疾患や身体的な問題にも
効果的であることが数多くの研究で明らかになっています。

今回はここまで

今回は3つだけご紹介しましたが、
これだけでも、いろんな方法があるんだな、というの
少し垣間見ることができたでしょうか?

最初にもお伝えしたように、
どの方法の方が良くて、どの方法の方が悪い、というのはありません。
そして1つの方法が全員に合う、というのもありません。

どの療法も、クライエントさんに安全に実施するには、
カウンセラーが方法や理論をきちんと学び、修練する必要があります。
この方法が気になるな、というのがあったら、
ぜひ担当のカウンセラーさんに気軽にご相談してみてくださいね。


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