インヤンヨガって何?
パンデミックになって、ずっと教えていた小さなスタジオがいくつか閉まってしまった。およそ1年後、最後まで禁止されていたヨガスタジオもようやく再オープンを許可されたけど、ローカル・コミュニティが集う場となっていた小さなヨガスタジオは全部リースを失い、再開することはできなかった。私はYMCAでも教えていたけれどそのYMCAですらなくなってしまった。
↑初めて教えた陰ヨガティーチャートレーニング
なので私はずっとオンラインで個人レッスンやグループクラスを教えている。と言ってもビジネス的なことに疎いのと、パンデミックになってから自分のトレーニングに打ち込んでいるのとで、教えるのはほんの少し、グループクラスは週に1度の日本語クラスのみである。このクラスは初めてからもう少しで1年が経つのだが、本当に細々と、でも私にとっては大きな学びの場となって続いていて、名前を「インヤンヨガ」と言う。
陰陽ヨガ、つまりなんて事のない「ハタヨガ」(ハは太陽のエネルギー、タは月のエネルギー)のようなものだけど、ハタヨガと言った場合に今のアメリカではある一種の固定イメージがつきまとう。それでもって実は身体的なヨガは本来全て「ハタヨガ」だという事実もある。つまり「ハタヨガクラス」と言った場合厳密には「(体を使った)ヨガクラス」ですよと言ってるようなものなんだけど、ヴィンヤサ(フロー)とハタヨガは違うスタイルのようなカテゴリーになってたりして混乱してしまう。西洋がインドのヨガを自分たちの好みで切ったり貼ったりして輸入してきたツケがこの辺に表れている。
私はいろんなスタイルのヨガを遍歴してやってきたタイプだけれど、ここ6〜7年はずっとアイアンガーヨガをやっている一方、長年アレクサンダー・テクニークを学んでいたし、筋膜リリースや解剖学、ボディマインド・センタリングなどのソマティックな動きのメソッド、そして陰ヨガも学んでいる。アイアンガーヨガと陰ヨガは全然異なるメソッドのように一見思えるのだが、私にはものすごく共通するものを感じていた。私はまだアイアンガーヨガの教師(資格を取るのにやたら厳しいのだ、このメソッド)ではないので、日本語クラスは開始当初「陰ヨガ」という名前だった。
でも、生意気でごめんなさい、陰ヨガのクラスに長年少し不満のようなものも抱いていました(告白!)。「生まれもってきた骨格は変わらない」というような言葉にもちょっぴし反感を抱いていました(うおー)!
陰ヨガとはとても受容的なスタイルのヨガで、簡単に言うと一つのポーズをあまり動かずに保ち、筋膜に圧をかけて開いていくというもの。筋膜は筋肉を束ねているので、あまり筋肉を使うと筋膜の縛りが強くなってしまい筋膜が開かない。なので筋肉はリラックスさせて筋膜や関節に負荷をかけて開く。心も落ち着くし、自分をジャッジしないで向き合う、とてもいいプラクティスだと思います。
でも筋膜というのは筋肉の一本一本の繊維の周りにも中にも入り込んでいて、はっきり言って全てが筋膜、もしくは繊維膜の結合組織と言っても差し支えないのではないだろうか。そしてあまりにも受け身なアプローチでする生徒さんや先生も多くいて、私としてはちょっと怪我が心配だったり頭の中にクエスチョンマークが発生したりしていたのだ。
ということで、うまく説明はできてないけれど(あまり一生懸命書くと誰も読んでくれない気がする)、陰と陽、閉じるところもあれば開くところもある、受容的でありながら能動的、わかりやすく言えばしっかり動いても受容的であることもあるのではと思い、「陰陽(インヤン)ヨガ」という名前に変えた。はっきり言って、今のクラスのスタイルは「陰ヨガ」じゃないです。
陰ヨガは大体座っているか寝ている状態のポーズを主に行うのだけど、私のクラスは立ったり、片足でバランスをとったり、逆さになったりすることもある。この辺りは、アイアンガーヨガの創始者、B.K.S.アイアンガー師(私たちはグルジと呼ぶ)がレストラティブ・ヨガとしてヘッドスタンドやショルダースタンドもやっていたことなどに影響を受けているかもしれない。心がリラックスしていれば何をやってもリラックスしているという考え方。
自分の体の隅々まで耳を澄ませようと気持ちから、クラスの最初の数分は筋肉や骨格の話をしたり、筋膜リリースボールで体をゴロゴロしたり、いろいろ自由にやっている。そしてやっぱり一つのポーズを長くホールドしたり、短くホールドしたり。
怪我をしている生徒さんも増えてきたので、リカバリークラスも増やしたいと思っている。みなさんもぜひ参加してみませんか?