イギリス学校事情 其の1
イギリスとはいっても、4つの国に分かれているので、ここでは、イングランドの中学受験事情、しかも、私の知る限りの話となります。
イングランドでは、小7年、中5年、高2年、大3年ミニマム(専攻による)が、基本で、5歳から、高2年までが義務教育となります。ただ、学校に行く義務は、5歳から16歳までとなっており、まず、中学までということになります。高校は、大学、専門学校を目指すなら行く必要があります。
義務教育期間の学年は、通し番号でいいますので、中学1年とは言わず、Year 7, 8, となります。
ただ、小学校の最初の学年は、Receptionと呼ばれ、保育園や幼稚園と変わりありません。この学年のポイントは、学業ではなく、学校という教育体制に慣れることです。
小学校 (Primary) Reception, Year 1-6
中学校 (Secondary) Year 7-11
高校 (College又は6th form) Year 12-13
学校の形態は、大きくわけて、私立と公立がありますが、小学と中学以降で多少の違いがあります。
・小学校は、私立と公立のみです。
・中高は、私立、選抜試験のある公立、公立と3つに別れます。
・大学は、基本公立のみ。これを書いている現在、下記5つの私立大学があるのみです。
<慈善事業型>
・University of Buckingham
・Regent's University London
<利益追求ビジネス型>
・The University of Law
・BPP University
・Arden University
高校までは、全国統一テストがあり、その結果が就職にも、進学にも影響します。下記、国で定められている教育ステージと、学年、及び、主な全国統一試験です。
Key Stage 0 (Reception) 日本の年中くらい
・なし
Key Stage 1(Year 1-2) 日本の年長−小1くらい
・KS1 SATs (国数のみ) ※2023年以降、各学校が受験の有無を決められる。
Key Stage 2 (Year 3-6) 日本の小2−5年くらい
・SATs(国数のみ)
Key Stage 3 (Year 7-9) 日本の小6−中1年くらい
・なし
Key Stage 4 (Year 10-11) 日本の中3−高1年くらい
・GCSE (大抵、9科目くらい。国数理必須、その他選択で、目指す高校、職業によって科目を決める)
Key Stage 5 (Year 12-13) 日本の高2-3年くらい
・A-level (大学で専攻する学校によって、決める。GCSEで選択した科目でランクC以上とったもののみ選べる)
大体このような感じです。
私立の学費は、ポンドの価値は変わりやすいので、首都の平均給与で表すと
小学校(Primary) :首都平均額面収入のおよそ5割
中学校(Secondary) :首都平均額面収入のおよそ6.3割
高校(College/6th form):首都平均額面収入の半分以上からほぼ全額
と高いです。
2021年の東京で言えば、
小学校 308万
中学校 410万
高校 308-615万
小学7年、中学5年、高校2年です。全て私立で行った場合、5千万円以上かかるというわけです。その他、私立は、入学金、制服、課外活動費など、馬鹿になりません。もちろん、収入の低い人には補助が出たり、賢い人には授業料半額にする、というケースもありますが、後者は、子供がずば抜けた才能をもっているか、賢さを出すか、というかなり確率の低いものです。
ですので、中学校では、選抜試験のある公立は、グラマースクール(Grammar school)と呼ばれ、子供に目指させる家族は多いのです。選抜式のほうが、やはり勉強のできる子、もしくは、勉強する子が集まるから、より質の良い授業をうけられるからです。
この選抜試験のある公立は、以前、社会的経済的差を生む理由として、多くは廃止され、一部は私立になり(なので、私立でも、公立でも、Grammarと名がついているとこがあります)、一部は残され、今に至っています。
このGrammar Schoolの受験を、イレブンプラス(Eleven-plus)と呼ばれますが、中学校からは、私立に入れる親も多いため、中学受験一般を、イレブンプラス(11+)と呼ぶことが一般的です。
ちなみに、中学受験を考えて、KS1までは、公立でも、KS2から私立に入れる親も多いです。やはり、払う分学校がカバーしてくれる深さが違うからです。
其の2につづく