【プロダクト開発秘話】モノのデザインから時間のデザインへ。使う人の気持ちに寄り添うプロダクトデザイナーの視点
はじめまして。FLOWUSチームでプロダクトデザインを担当している和田です。
5月2日の「開発ストーリー」では、FLOWUSチームリーダーの大庭が、自身の体験から“お風呂時間”をテーマに新しいカデンを創造したお話でした。今回は、その想いに共感し、具体的な形にするデザイナーの視点で書いてみたいと思います。
「お風呂に新しい価値を見出して、より安息できる場所にしたいんです! 新規事業プログラムに参加しませんか?」
と、リーダーの大庭から声をかけてもらってこのプロジェクトに参加しました。
最初は「なんとなく面白そうだなー」くらいの感覚で始めたのですが、普段は空間デザイン系の仕事がメインなので、こういった、いわゆる家電的なプロダクトは手探り状態。しかも、お風呂で使うため「防水性がマスト」とのこと。
一体どうやって進めていいのやら、この思考や方法が合っているのかすら分かりませんでした。どのようにFLOWUSを考えてきたか、そんなところをお話しできればと思います。
といってもプロダクトは未完成。まだまだ考え続けていきますよ……。
●プロトモデル1号のデザインについて
「サウナ」や「ロウリュ」というキーワードを頼りに、石にお湯をかけるひしゃくを記号的に捉え直したシンプルな形状をベースに、「お湯を噴出する」「持つ」「置く」「壁にくっつける」など必要な機能や使い方ができるように意識しました。
今後改善することを踏まえて、問題点を洗い出すためには余計な装飾を省いた方がいいと思いデザインしました。
●「シャワーヘッドに見えてしまう」という問題
実際にさまざまな方にプロトモデル1号を体験してもらい、フィードバックをいただきました。その上で、使い勝手や設置方法など改善すべき点をメンバー内で話し合う中で、「シャワーヘッドに見えてしまう」という問題点が挙がりました。
メンバーの総意は「シャワーヘッドに見えないデザインに変更すべき」でしたが、僕は正直、違和感がありました。なぜシャワーヘッドに見えない方がいいのか、しばらくピンとこなかったからです。
●モニターは何に価値を感じていたのか? その時あるべきデザインとは?
プロトモデル1号のデザインにそんなに執着はしていなかったのですが、シャワーヘッドに見えない方がいい理由について、腑に落ちていませんでした。そこで、ネチネチとその理由を探そうと、モニターに参加いただいた方々のインタビューを読み返していると、継続利用してくれた方に一つの共通点があることに気づきました。
それは、
FLOWUSをお風呂場で使用する「時間」に価値を感じていたことです。
温まる、汗をかく、などの機能的価値よりも、1日の終わりにお風呂場でFLOWUSを使用する体験価値や習慣化の方に、魅力を感じられていたのです。
「自分で自分にいいことをしている気がする」というお声もいただきました。ここで僕はようやくピンときたのです。
シャワーのようにお湯を出し、体を洗うような機能的なモノではなく、
ぼーっとしたりオンとオフを切り替えたりするような時間を持つコトがFLOWUSの価値であるということ。
だから最低限の機能だけを備えたシャワーヘッドと同じようなデザインでは、価値に対してミスマッチなのだと思いました。
ここまできてようやくメンバーと同じ、「シャワーヘッドに見えない方がいい」というスタート地点に立てたのです(遅い)。
同時に、プロトモデル第2号をどういうデザインにすべきか考え始めていくことになるのですが、少し長くなりましたので、続きは次回ということで。