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哲学史と句会とかき氷雲の日の日記
5:55、スマホのアラームの振動で目が覚める。あ~、もうちょっと寝たかったなあ~と思いながら、スヌーズを押す。夜中に起きたんだっけ?たしか起きたな、でもすぐ寝たのかな?と思いながら、しばらくスマホを見るともなく見て、結局6:20に起きる。
東向きの窓からは、遮光カーテン越しにすでに強い光を感じる。カーテンを開けると、思わず目をつぶってしまうくらいの眩しさだった。窓を開けると、想像していたような圧のある熱気ではなく、「ふつうの夏」の暑気が顔や腕に触れた。夏が下り坂に向かっていることを朝晩に感じるようになってきた。それでもセミたちは、夏も盛りと相変わらずの大合唱。オスゼミたちは今日も、朝からメスゼミを求めている。
リビングの窓を開ける。窓際のモンステラの葉たちが、ひまわりのように窓の方を向いている。鉢の向きを変えないといけないなあと思いながらキッチンに向かい、電気ケトルでお湯を沸かす。今日のことはあまり考えてなかった。どうしようか、とぼーっとお湯が沸くのを待つ。
いつものブルーのマグカップにお湯を入れて、ソファーに座る。ここに座っちゃうとダラダラ確定なんだよなと思いながら、TVをつけ番組表を見る。今日見たいものは特にない。
Paraviで「MIU404」のドラマを再生する。野木さん脚本だし、綾野剛さん主演だしという理由でこれまでなんとなく見てきたけれど、先週の小日向文世さんゲストの回でぐっと持っていかれた。昨日放送された回も、終盤に入ってきてだんだん目が離せない展開になってきた。次週も楽しみだ。
顔を洗って日焼け止めを塗ってから、自分の部屋に戻り朝のルーティン。今日のカードを引く。「ソードの2と星」。絵柄が対照的だなと思う。白い服と裸。両手に剣と、両手に水瓶。三日月と星。「じっくり考える日。今後の見通しを持つといい」とメモする。その後、1週間のレトロスペクティブと、今週&今日のタスクを確認。タスクというほどのものはないけど。
読みたい本がたまりすぎている。1週間に3冊読むとして、今思いつくだけでも、16週間分は机の上やベッドの枕の横、Kindleの本棚にスタンバっている。さらに今思いつかない本にも手を出すだろうし。
ベッポじいさんの言葉を言い換えて、自分に言い聞かせよう。
「いちどに読みたい本ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの1冊のことだけ、つぎの1ページのことだけ、つぎの1行のことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな」
モーニングページを書いたあと、筆写をする。文庫本1ページくらいだから大した量じゃないが、書き写しをしていると安心する。歌の練習に近いのかもしれない。リズムや言葉の運びを自分の中に刻み付けている感じがする。しばらくやっていない期間があって最近再開したが、これはやっぱり必要だなと納得している。しばらくは自分の好きな文体の作家さんの文章を写して、時間がたったら難しいと思う人の文章でやってみようと思っている。
飲み物を取りにキッチンに行くと、長男がお弁当を作っていた。毎日集中的に教習所に通っているのだが、教習所には食堂がなく、近くにはマクドナルドしかないので、ほぼ毎日自分で作って持っていっている。この人は実家に住んでいるのに、ほぼ完全自炊。えらい。
紅茶を入れて部屋に戻ろうとしたが、お腹が減ったので長男がキッチンを使い終わるのを待って、ブランチを作ることにする。昨日の残りのコロッケを冷蔵庫から出して、トースターにアルミホイルを敷いて、こげないよう少し弱めの温度で温める。小さなフライパンに希釈めんつゆと水を入れ、加熱する。そこに冷蔵のうどんと乾燥わかめを入れる。うどん温めている間に長ねぎを小口切りにする。立ち食いうどん風のコロッケうどん。味は普通。普通がおいしい。
食後はソファで『世界哲学史1』の続きを読む。この本は、ちくま新書が今年の1月から8月まで毎月1冊ずつ刊行してきた全8冊のシリーズで、これまで主に西洋の枠で捉えられてきた哲学を(例えば日本は西田以前は哲学ではなく思想とされている)、「世界で展開された哲学の伝統や活動を通時的に見る」ことを通して、「人類の知の営みを新たな視野から再構築する」試みだという。執筆陣は総勢102名にいたるそうだ。
先週の自主合宿を終えて「哲学史全体」を摑もうと思っていたので、ちょうどぴったりなシリーズだと飛びついた。哲学の始まりは古代ギリシアとされることが多いが、この本では紀元前3,000年頃からのメソポタミアやエジプトの古代の神話時代から述べられていく。現代に辿り着くまでが長そうだが、人類の知の体系が、こうして気軽に読める形で提供されていることはとてもありがたいことだ。と、思いながらも、案の定途中で寝てしまった。食後はどうしてもね。。。
目が覚めてから、観葉植物に水をやり、鉢の向きを変える。モンステラは葉が増えているだけでなく、気根も伸びまくっている。どこかで手入れをしないと。一方、ウンベラータは水切れなのか、カイガラムシのせいなのか、どんどん葉が黄色くなってしまっている。以前植え替えをして弱っていた小さい方の鉢は復活して葉が増えてきたが、今は大きい方が傷んでいる。ふんばれ、ウンベラータよ。
そうだ、明日までにやらなくてはいけないことがあるんだった。あっという間に1か月がたって、明日はマインドフルネス瞑想療法士の講座だ。提出する書類を完成させないといけない。パラパラとテキストを見直して、すっかり頭から抜けていることを取り戻していく。
その後、evernoteにここまでの日記を入力。気づくと13時を過ぎていた。トイレに行って、冷蔵庫で冷やしておいたルイボスティーをマグカップに注ぎ、急いで部屋に戻る。
YouTubeで夏井いつきさんの「句会ライブ」を見る。どんな感じなのかなあと思っていたら、投句フォームから投句するシステムで、それをライブで紹介していくらしい。だが、アクセスが集中しすぎてサーバーエラーとなってしまい、前半は夏井先生と息子さんの普通のトークセッションのような感じだった。後半は視聴者から投句された作品がどんどん紹介されていく。お2人の掛け合いがポンポンとリズムよく、終始楽しい雰囲気で進んでいった。
最終的に2,000句以上の投句があって、5つの賞が選ばれた。どれも素敵な句で、限られた中でも豊かな世界を表現できるんだなあーと、しみじみ思った。言葉で言えることには限りがあるけれど、でも一方で、言葉で表現できることは想像以上に深く鮮やかで、読み手の中に忘れがたい質感(音、香り、情景など)を起こすこともできるのだと、言葉の持つ奥深さや可能性を感じる時間だった。
ちなみに、今日のお題は「あいうえお俳句」と言って、上五にあいうえお、かきくけこ……のいずれかの行を持ってきて、中七はその最後の音「お」や「こ」などで始める、というものだった。私は投句はしなかったが、せっかくなのでここに一句。
「なにぬねの 残る宿題 秋暑し」
立秋を過ぎてなお猛暑が続き、宿題もたくさん残っている、とほほ、、、という気持ち。小学生の気持ちと、小学生の親御さんの気持ちと、明日までに提出する書類がある自分の気持ちを重ねている。「なにぬねの」の音でねっとりした暑さと、宿題が残ってイヤな汗が出ている感じが出るかなあと。。。あ、なにぶん初心者ゆえ、ご笑覧ください。
私はまだ俳句の良さを味わえるほどの感性は持ち合わせていないけれど、これから腰を入れて学んでみようと思っている。17音に時間や空間や季節や心をぎゅっと結晶化する、世界でも類をみない言葉の芸術に親しむことによって、風景の切り取り方や、書かれていないことを読み取る力も含め、「言葉の感性」が磨かれるのではないかと期待しているのだが、どうなることやら……。
14:40くらいに句会ライブを見終えて窓の外を眺めると、トップの写真のような雲が正面に見えた。綿菓子というより、かき氷みたいだなと思って見ていると、雲の上を飛行機が飛んでいった。雲と飛行機というのは鉄板過ぎて句にならないか。それにしても、手前の雲がなければ完璧なかき氷雲だったのに!
その後、遅めの昼食。業務スーパーで買った冷凍の殻付きあさりでボンゴレビアンコを作る。赤唐辛子もパセリもないため、七味と青のりで代用。白ワインとあさりとクレイジーソルトで味が決まるので、手早くできるわりにおいしい。それにしても野菜不足なので、夜はあむしのように野菜をむしゃむしゃとらないと。
食後はまた部屋で提出物作成の続き。思ったより時間がかかる。一区切りついたところでシャワーを浴びた。
今のところまだ誰も家に帰ってきていない。
今日もまるで一人暮らしのような1日である。
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