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選択制小説 『唐揚げ死なず』 #毎週ショートショートnote【ヤングorアダルト編】

 目次からお好きな方をお選び下さい🤗💕




▶ヤング編


「…ただいま」

部活終わりで腹ペコの状態で自宅のドアを開けると、仁王立ちの母がいた。

「今からお母さんと勝負しない?」
「はあ?何だよ、めんどくせぇ」 
「それによって今晩の唐揚げの量が変わるけど、いいの?」
「…わかった、やるよ」

なんでよりによって大好物のおかずの時に意味不明な勝負に挑まなきゃなんねぇんだよ。クソババア!

「いーい?唐揚げ死なずを十回言った後に、お母さんの問いに答えたことを実行してちょうだい」
「十回ゲーム?」
「まあ、そんなものかしら?じゃ、よーい、スタート!」
「唐揚げ死なず、唐揚げ死なず、唐揚げ死なず……唐揚げ死なず!」
「自分の部屋を?」
「…片付けします」
「正解!ということで、今から着替えて掃除してちょうだい。後でお母さんが部屋をチェックして唐揚げの割り当てを決めるから♪」

とスリッパをパタパタ鳴らしながらルンルン気分で去る母の思惑にまんまと引っかかった自分を心底呪いたくなった。


▶アダルト編


「ただいま〜」

人感センサーの灯りを頼りに、玄関のドアを開けると仁王立ちの妻がいた。

「ひぃっ!」
「おかえりなさい。今日も沢山呑んできたわね」
「…忘年会シーズンだからな」
「まあ、いいわ。今から私と勝負しない?」
「…は?」

何でほろ酔い気分の今、訳のわからんことに付き合わされなきゃなんねぇんだ…

「やらないの?それで今後のお弁当の唐揚げの量が変わるけど?」

一番好きなおかず…!

「わかった、やる」
「唐揚げ死なずを十回言った後、私の問いに答えたことを実行してちょうだい」
「十回ゲーム?」
「そんなものね。よーいスタート!」
「唐揚げ死なず、唐揚げ死なず……唐揚げ死なず!」
「呑み会の後には?」
「…カラオケ行かぬ」
「それでこそ賢明な判断よ。明日も呑み会でしょ?カラオケに行ったかどうかでおかずを調節するわ」
「唐揚げ以外も?」
「今後の行い次第ではね」
「何でカラオケ行ったのわかんの?」
「自覚ないの?スナック独特の煙草の匂いと今も声ガラガラよ」



 ネタが思い浮かばぬ!と思っていたのに、いざ考えてみたら二つの十回ゲームもどきができたので、久しぶりに選択制小説にしました🥸たぶん“選択制小説”で検索すると、これまでの作品も出てくるかと!

 よかったら、こちらもどうぞ〜🙋


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