『半分ろうそく』 #毎週ショートショートnote【マジだよ編】

 便座に腰かけるとバキッ!と不吉な音がした。用を足してから私は便座を見て

「嘘でしょ?!」

と叫んだ。確かに連休中は食べ過ぎたが便座を割るほど急激に太ってはない…はずだ。

土曜日に掃除した時には劣化した箇所はなかった。よく見ると接着剤をつけたような跡がある。

犯人はあいつだ!


「トンカツじゃん!」

食卓に並ぶ料理に笑みを浮かべる真犯人。
好物を前に口を割らそうという策略だ。

「いただき…」
「ちょいとお待ち!」

箸を持とうとした手を掴む。

「何だよ」
「貴方でしょ?便座を割ったのは」
「違う!いや…便座を割ったのは俺だけど、半分ろうそくのせいでもあるんだ!」
「どういうことよ?」


 夫の言い分はこうだ。

GW最終日にあった友人の結婚式でもらったろうそくの器をトイレの窓辺に飾っていたら、風で落ちて便座に直撃。

日曜日に私が買い物に出かけていた隙に補強したそうだ。

なぁんだ、私のせいじゃないのか。
じゃトンカツ食べよっと!

腹の肉は見て見ぬフリをして。



 実は先日書いた

こちらの作品の後日談として書いたものを、改めて小説にしてみました。個人的に最近、お題かぶりが多くて……まさか、キャンドルエピソードの後にろうそくお題が出るなんて…!

 ということで、こちらも実は実話です。(だから【マジだよ編】となってます。)

事件現場は私の家ではなく、従妹と叔母が旅行に行っている隙に叔父が便座を割ってしまったようで……(買い換えるのに相当かかったと、ぼやいてた。ぼや騒ぎじゃなくて良かったけど!)

“事実は小説より奇なり”とはよく言ったものですが、なかなかそれを越える小説が書けないのが悩みどころですね😂😂

 【マジかよ編】もよかったら、どうぞ~

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