『塩人との攻防戦』 #毎週ショートショートnote
「絶対落としてみせるからアシスト頼むね」
と告げた香はカウンター越しで調理している焼鳥屋の大将、塩矢弓人に惚れ込んでいるらしく、とりあえず頷く。
「お飲み物は?」
と笑いかける略して塩人に
「そうだな~カシオレにしよっと」
と答えた香に戸惑う。
とりあえずビールは?!
「…私も」
「へいよ!食べ物は?お勧めは特盛セットだけど」
「せっかくだしこれでいいよね?」
「…うん」
塩人が憎い。あんたのせいで好きなメニューも選べないなんて!
「すご~い!目の前で焼くとこんな感じなんだ」
と感嘆し
「こちらから、もも、ぼんじり、ハツ…」
「ハツってどこの部位?」
と説明を遮り
「心臓っすね」
「知らなかった!さすがですね」
と香は串から肉を抜いていく。
香が席を立つと塩人から話しかけられた。
「お姉さん呑みたりてないっしょ?」
「え?」
「たまにいるんすよ、逆さしすせそ。串ごと食いつくのが一番旨いってのに。これサービスね」
と生中を差し出す塩矢弓人…
なんて好い人!
言葉としては知っていたけど、調理の「さしすせそ」はその順に入れるといいと、最近知りました……(料理って極めたら、化学の分野ですよね?)
ってなわけで
「逆さしすせそってどういう意味…?」
というお話です。塩矢弓人を侮ることなかれ…!(ちなみに名前は串焼き由来でもあり、塩対応なの? Cuteなの? って意味もなくなくもない。)
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