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140字小説 『バウムクーヘン』 #2月の星々③


兄がいた頃は四等分だったから切りやすくて良かったな。

兄が就職とともに家を出て、父と母で三等分するのは難しかった。

父が亡くなり、半分こ出来るようになったと思ったら今度は母が入院してしまった…

今の私は0なのかな?○なのかな?


食卓の上のバウムクーヘンを見つめながら、そんなことを考えた。



 バウムクーヘンって少し切ない感じがするのは穴があいてるからなんですかね? 今はまだ三等分しているところですが、○がランドルト環のようになり、Cのようになり…少しずつ減っていく様子に、しんみりと思いを馳せました。せめて0じゃないよ、○だよって言えたらいいな。


#140字小説 #月々の星々 #2月の星々


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