制作雑記【封筒ブローチ】スズラン
『封筒ブローチ』は封筒の中から布花がひょっこり顔を出している、遊び心あふれるデザインが特徴。
今回はスズランですが、バラやスミレ、オレンジの花なども今後発売していきたいと思っています。
今回はこのブローチ誕生秘話をお話しますね。
包まれた姿のスズランブローチ
『封筒ブローチ』はいつもお世話になっているMさんを思って作り始めた商品でした。
Mさんが私のスズランを見て「この自然な形が気に入っている」と話していた時…
Mさんが胸ポケットにサッとスズランを飾る姿が思い浮かびました。
ポケットとか何かこう「包まれた」「守られた」姿の植物を気取らずに身に付けるような…
そんな布花アクセサリーを作りたい。
そのイメージを形にするべくデザイン画を描き続けました。
アンティークカードに描かれたスズラン
デザイン画を描いているとき、ふと一枚のアンティークカードを思い出しました。
それはカードの中央から突き破るように、たくさんのスズランが飛び出した絵柄。
このカードを紹介してくれた女性が「まるでたくさんの幸せが、あなたに飛び込んでくるように感じませんか」とニコニコと話してくれたことも思い出しました。
カード…
飛び出す…
スズラン…幸せ。
あっ、と閃いた姿が、封筒ブローチの原型でした。
封筒ブローチのアイデアと苦悩
『カードの形では布花を包めない。
なら紙もの繋りで包むアイテムといえば封筒。
封筒からスズランを飛び出しているような感じで…』
『でも封筒を紙で作ると、アクセサリーとして使用感が不安。
せっかく布花と併せるなら、封筒も布で作ろう!』
『いや、それだとアクセサリーとしての強度の不安がある。
ならば、着せかえ布花ブローチ台のようにカルトナージュの技法を取り入れてみようか…』
このように封筒ブローチの内容をつめていきました。
内容決めから試作1号が完成するまではあっという間。
かわいい!身に付けた感じも良い。…でも、なんか。
「チガウ!コレジャナイ!」
この言葉が頭に浮かぶと、毎回ものすごく悩み出してしまいます。
おまけに坐骨神経痛でイライラがたまる一方…
ダメなときこそリフレッシュ
「モウダメダヨ、パトラッシュ…」
なんて思わず呟いてしまうときは、限界の直前。
こういう時は、いったん全部置いておいて別のことをするようにしています。
(自分の「限界前触れのときに出る癖」を知っておくのおすすめですよ!)
この時は、自分が好きな手芸書やデザインの本などをパラパラと眺めていました。
そうだ、憧れのクリエイターさんのZINE(自主制作本)を久しぶりに見てみよう…
バラをテーマにした内容も、布張りの表紙など美しい装丁も何もかも素敵な本。
おまけに、ZINがオリジナルデザインの箔押し入りの封筒に入ってる特別感がたまらない!!
…と、その本を手にした時。
「チガウ!コレジャナイ!」を埋めるピースを見つけました。
ZINが入っていた封筒の色褪せっぷり!…これだ!
あなたも、煮詰まったときに気分転換をしたらあっさり問題解決の糸口がつかめた、なんてことありませんか。
人生って本当に摩訶不思議!
色褪せた大切な封筒
色褪せた封筒とはいっても、本当に色褪せるまで放置?するわけにいきません。
ここは染め布花作家の腕を活かして、染色でそれっぽくみせることにしました。
色褪せ、封筒、とネットで画像検索してみましたが、結局いちばん参考になったのが、先程のZINの封筒。
購入当初はまっ白でしたが、いつも眺められるように手近な場所に置いてあったせいか…
いい感じ?にヴィンテージ感あふれる色褪せ&痛みっぷりに。
決して粗末に扱ってないのです!何度も開いてめくってたらこうなってしまい…
今回、制作の強い味方になりましたが、この痛みっぷりは憧れのクリエイターさんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。
完成した封筒ブローチ
さて、封筒の染色も納得のいく出来。
その後も微調整を重ねて、ようやく商品として完成しました。
スズランの布花は、『着せかえ布花・ドイツスズラン』をベースに作っています。
丸っこい釣鐘型の花が特長です。
葉はマットな一枚葉と、艶やかな二枚葉の2種類。
然り気無く身に付けたい方、スズランが大好きな方、お好みのデザインを選べるようにしました。
※花はどちらも同じものです。
封筒の色褪せは、身に付けた時に不潔感が出ない程度にしました。
封筒の端の方や中央あたりに薄茶の色が滲んでいます。
一つずつ染めているので、個体差がありますよ。
封筒の内側と外側に込めた意味
封筒の外側は色褪せたように染めましたが、内側は敢えて染めていません。
面倒だから内側は染めなかった?
いやいや、これにはちゃんと意味があります。
『たとえ時が経っても(=外側の色褪せ)、この思いは色褪せることはない(=内側は色褪せていない)。』
花には様々な意味の花言葉がありますよね。
遠い昔は言葉に出来ない思いを、その思いの意味を持った花を相手に贈ることで伝えたそうです。
封筒の中から飛び出すスズランは、あなたが誰かに幸せを届けたくてうずうずしている気持ちの表れか…
もしくはあなたに幸せが訪れる前触れを表しているのか…
封筒ブローチを身に付けたら何か分かるかもしれません。
応援していただけますと、ひとりきりの制作の中でも『まだ見ぬあなたに布花を届けるんだ』ともうひと踏ん張りできそうです。よろしくお願いいたします。